細かすぎて伝わらないミリアニ感想第3話分です。
第3話で登場する765プロ劇場組の面々。
改めて何故よりによって・・・なメンバーで草。
とにかくやりたい放題なアイドルたちと振り回されっぱなしの源P、頼みの新人事務員・美咲もどこかズレていて・・・と、ただただ頭を抱えるばかりの描写が続きます。今後に向けた仕込みってやつですね。
一方キレのいいツッコミをあちこちで見せたりと立ち位置がアイドルにかなり近いのが源Pの特徴。「アイドルと一緒に進んでいけ」というチーフのアドバイスは大雑把ではあるものの、後輩の長所とその生かし方を的確に見定めておりプロデューサーとして確かな目を持っていることがさりげなく描かれています。
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「うーん、こういうのも社長さんが大事にすべしって言ってた自主性なんですかねえ?」
無断発注されたグッズが文字通り山になって届いてもこのリアクション。この新人事務員、やはりかなりの大物・・・。
なお社長が言ったという自主性云々の台詞はアニメ前を描いたミリシタイベントコミュに実際に登場します。
※ANIMATION STAGE “M@STERPIECE”より
直感を大事にするプロデュースという点で社長と茜は大いに通じるものがあり、こういう茜のことを社長は叱るどころかめちゃくちゃかわいがってそうなんですよね。
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「ぺたっ!」
茜ちゃんステッカーを見た瞬間に「カワイイ!!」と歓声を上げ、胸に貼ってもらうと思わず笑顔になる美咲。
No Make!でも貴音がさりげなく1束持ち去っていたり、アニメ内でもリアルでも既に大人気の茜ちゃんステッカー。まだデビューしてもいないアイドルのグッズを作るなんて事前に相談しても間違いなく通らなかったろうに、結果はきっちり残すから怒るに怒れなくなってしまう。やりたい放題なくせに突いてくる場所がとにかく絶妙なのほんと茜ちゃん。
ただな、作りすぎ なんだよ。
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「春香さ・・・ちゃん!」
伊織の台詞で、先輩から同僚になる春香を”春香さん”から”春香ちゃん”へ呼び変えるため努力中なことが窺える可奈。これってムビマスの時ファンから先輩になる春香を”春香ちゃん”から”春香さん”へ呼び方を変えたのと逆のことやってるのか・・・と気づくとこのシーンの深みが一気に増します。
まあ、ミリシタの可奈は”春香さん”呼びなので結局定着しなかったみたいですけど・・・。
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「そりゃ偶には来るよ」
ワンカットでめちゃくちゃ沢山のことを説明してしまうシリーズ。
「チーフは劇場運営や劇場組アイドルのことについては基本ノータッチ」
「とはいえ源Pや劇場のことを気に掛けるのは当然だと思っている」
「チーフはチーフで忙しい=ASの活動は順調」
このへんのニュアンスがぎゅっと詰まってますよね。チーフの顔を見た源Pが「チーフ、来てくれたんですね!」と明らかにテンション上がりまくってるところも見逃せません。
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「もう作ってるんだなあ、こういうの」
茜ちゃんステッカーを見て感慨深げに呟くチーフ。
そういえばこの人ってアイドルをゼロからプロデュースしたこと無いから意外とこのへんの段取りには疎いのかなあ・・・というところに考えが至ります。
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「ダメダメ、まだ危ないから」
ヘルメットを被れという重箱の隅をつつく指摘に重箱の隅をつつく反論。
工事中のステージに上がろうとした未来たちがわざわざ「まだ危ないから」と言って止められるのは、逆に言えば今いる2階席はもう工事が終わっていて危なくないということ。
というか”シアターステージは まだ作業中で危ないから立ち入り禁止”ってちゃんと貼り紙に書いてあるのよね。面倒くせえ風潮にちゃんと先回りして保険を掛けてあるのはいかにも今のアニメ・・・ではあります。
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「百合子ちゃんはどうですか、何かありませんか?」
百合子に発言を促す際、わざわざ自分の視線を下げるまつり。
相手に何らかの反応を促すとき顔をのぞき込む仕草をすることがありますよね。このシーンでは百合子だけ少し上の段に立っているためこんな仕草をしなくても百合子の顔はのぞき込めるんですけど、それでも敢えてまつりは視線を下げて百合子の顔をのぞき込んでいます。
本来まつりは百合子のアシストをしているはずなのに、何か一言言って欲しいというお願いの仕草までして百合子に発言を促す。こういうところに芯からよく出来たまつりの人間性がにじみ出ています。
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「ここからの景色、ステージから見える風景に似てるの。
私、頑張らなきゃって思うとすぐに緊張して、周りが見えなくなって
765プロASのバックダンサーをしたときもそうだった。
でもね、ステージに上がったときに見えたんだ。
そんな気持ちを忘れるくらい綺麗な景色。
春香さんたちの背中の向こう側に見えた会場の輝きがとても似ているの。
街の光、星の光、全部数えたらきっと100万よりもっとあるよね。
でも、ステージから見る光は、それに負けないくらいずっと、綺麗で、
ひとつひとつの光から思いが伝わってくるようで、忘れられない。」
第2話で源Pが口走った謎の概念・”ミリオンライブ”を補足してくれる百合子。
こんなにきれいなオタクの一気語り、今まで見たこと無い!・・・なんて茶化しては失礼なくらい。無限に見返せるようになってみると本当にいい台詞だなあと惚れ惚れして丸々書き起こしてしまいました。
百合子の”文学少女っぽさ”ってこの手のキャラにしては少し不思議なところがあって、インプットはこちらが何を言ってもニュアンスを把握してくれるさすがの理解力な反面、アウトプットは常に平易な表現で引用とかもほとんどしないんですよね。
亜美真美や茜といった謎にボキャブラリー豊富な子が他にいるだけに前から気になってたんですけど、このシーンはそんな百合子ならではの感性で捉えたライブの光景や目の前の景色の印象を、いつもどおりの分かりやすい言葉で語り尽くしてくれています。これだけ深くキャラを理解して生かしていくために、どれだけ脚本を練ったんだろうと映画館でただただ感嘆していたのを覚えています。
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映画館でこの光景を見てから後日765プロライブシアターの場所を実際に訪れて気づいたこと
このシーンってちょっとカメラを右や左に振るだけでレインボーブリッジやスカイツリーが見えるはずなんだよなあ・・・と。
ですがこのシーンでは敢えてそれら目立つランドマークが切り取られておらず、アングルが変わったワンカットにちょっとだけ映り込む程度です。
語られているのはあくまで”人々の営みや星の輝きが集まった美しさ”、なので目を引くランドマークが映ってしまうとテーマがぼやけてしまう。
同じように輝く全ての光が特別なもの、それが百万個集まるからこそ見える美しさ。ライブ客席のペンライトもみんな同じ光り方をします。一緒なんです。
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「まつりさんも、ありがとう」
ここまでずっとまつりがサポートを入れ続けてくれていたことに百合子はもちろん気づいていて、終わりのところでお礼を言います。すっとぼけるまつり。ああ!このやりとり!ほんとミリオンライブだなあ!
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「原っぱ~~~~~!?」
全力でひたむきにアイドルに挑む未来が周りの皆を動かし、変えてゆくのがミリアニのテーマ。以前なら絶対こんな声を出さなかったであろう静香まで、もうこんなに未来の影響を受けています。
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「原っぱ~~~~~↓」
テレビ放送の内容を4話まとめて上映する形式なため、各話の区切り目で使われた「原っぱ~~~~~!?」が連呼されることになった先行上映第1幕。Pたちもそれを承知のうえで「何回叫ぶんだあれ」とネタにしまくっていましたが、その反応すら制作陣には織り込み済みで次回予告のネタにされていたというオチ。
ミリアニは何故見やすいのか? 画面にその秘密がある
はい、今日もミリアニを褒めます。
今日はミリアニ全体を貫く”流れ”の話です。
毎回とんでもないキャラ数ととんでもない情報量が詰め込まれた状態で進行していくミリアニ、しかし不思議なことに「何がどうなっているのか分からない」という感覚に陥ることがありません。
シナリオの大筋はシンプルという点が大きいのは間違いないんですが、もう一つ、見る側の理解を促進させるために全編を通して貫かれている重要なルールがあります。それは『今、誰がシナリオを動かしているか』を常に画面に明示させることです。
「そんな目印、どこかに出てたっけ?」 あるんですよこれが。

参考のため過去にうちのサイトへアップした感想記事の画像を並べてみましょう。
わかった?
答えは極めて単純で『今シナリオの軸になっているキャラが画面向かって右、補助的な役割のキャラが左に配置される』というルールです。ミリアニではこれがかなり徹底されていて、基本的に話しかける側の子は右側から左向きに、話しかけられる側の子は左側から右向きに描かれます。
ちょっと前に漫画・ドラゴンボールが何故読みやすいのか?というのがネットで話題になったときも盛んに語られていた記憶があるこの話。我々日本人は縦書きの文章を右上から左下に向かって読む習慣が身についているため、ぱっと画面を見たとき無意識のうちに右から左への”流れ”で内容を理解しようとします。
これは漫画、アニメに限らず、歌舞伎のセットは奥の間が右(上手)・玄関が左(下手)ですし、落語で一人何役もやる場合は目上の役が左向きにしゃべって目下の役は右を向いて話を聞くのが決まり。この流れに沿って情報を配置していけば見る側が勝手に優先番号を振っていってくれる・・・というのは、もはや文化の根底、本能レベルで染み付いているルールで、決してミリアニが発明したなんてものではないんですけど、徹底ぶりがすごいのよね。
『今この場面では誰が物語を回しているのか』は視聴者が無意識のうちに判断して耳を傾けてくれる。そしてその”重要人物”が確かに間違いなく軸になって話を進めていくため、内容がすっと頭に入ってくるんです。
上に用意した参考画面はわざわざこのエントリーに合わせてキャプチャしたものではなく、新たに撮影するのが面倒だったから過去にここへ掲載したものを並べただけです。これだけでも当てはまるシーンばかり出てくるっていうのは、やっぱり意図的にやっている工夫なんだろうなと。
この百合子のシーンは”流れ”の象徴とも言うべきもの。ここで百合子が左向きなのか右向きなのか、それだけで視聴者が受け取るニュアンスは変化してしまいます。
時間の流れも右から左が順方向。昴が投げたボールは右から左に飛んでいきます。
ステージシーンは主と従の最たるもの。ステージの上から呼びかけるアイドルは左向きに。
観客は右向きになります。ほんと良く出来てますよね。
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【応用編①】
同じステージのシーンでも全12話中1つだけ明らかに演者を左側(右向き)に据えて描いているものがあります。ネタバレになっちゃうからボカしますけど第9話のあのステージです。あのシーンは未来たちが会場の熱気に圧倒されるのがメインテーマ。パフォーマンスしている側の未来たちが押し負けるほどの熱気、これを表現したい場合は・・・そう、観客席とステージの配置を逆にするんです。
カメラワークや音響だけでなくこうした心理効果まで駆使しているからこそ、あの凄まじい臨場感が生み出されているんですね。
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【応用編②】
視聴者は知らず知らずのうちに右→左の流れで話が進むものだと思っているため、不意に左が「わっ!」と声を出すと意外性や驚き、不安定感を覚えます。
ここなんかそうですよね。
未来がだーっとしゃべっているところで唐突に左側にいる静香が全然違うトーンで口を挟む。すると視聴者は未来と一緒に思わず「なんだなんだ?」と静香の言葉に耳を傾けてしまうようになります。
ここもそうです。
左からこのみさんがものすごい勢いで走ってきて怒り出すことで子犬に噛みつかれたような感覚に陥るという。
極端な言い方をすると画面の右から来るものは正・秩序、左から来るものは逆・混沌です。仮にこのシーンでこのみさんが右側に立って左向きに未来に怒りの声を上げると正方向の怒り、つまり見た目で判断するなと言う真っ当なお叱りの言葉になってしまい、ギャグとして成立しづらくなってしまう。ここをギャグシーンとして見てもらうためにはこのみさんが右向きに怒っているというのがマストなんです。
登場シーンは完全にやべー奴扱いだったまつりも当然のごとく左側からやってきます。
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【発展編】

このルール破り演出を最大限活用しているのが混沌の女王(?)茜ちゃん。
山積みの茜ちゃんステッカーを指さして「これお前か!?」とお叱りモードの源P、右・秩序サイドから声を上げます・・・が、それをあっさり跳ね返す左・混沌サイドの茜ちゃん。本来右から左へ行くはずの流れを勢いでひっくり返し、視聴者にはハチャメチャでドタバタな印象がより強く残るようになります。
第4話でも源Pを振り回す茜ちゃんは例外的に左側から話しかけます。
桃子に叱られているときはこうなので、敢えて逆にしているのは間違いありません。
一方初対面の未来に対してはちゃんと左向きになる茜ちゃん。変なところが妙に律儀。
この視点で見ていると本当に面白いのが、あれだけ掟破りしておいて最後は左方向に走り去っていくんですよね。混沌の方向に。
その後もほとんどのシーンを左側で暴れて過ごす茜ちゃん。ほんとカワイイなこいつ。
やりたい放題だった茜ちゃんはこの後スマホと財産を取り上げられてしまったんですが、奪った麗花さんと美也も確か左側に逃亡していったはずです。混沌の女王も真の混沌には敵わなかった・・・と。
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まあ普段ミリアニを楽しむぶんにはこんなこと意識しなくていいというか、むしろこの”流れ”はそういう余計なことを意識させないまま話を分かりやすくするための工夫です。
でもこれだけ徹底してやっているのを見てしまうと、ある種の感動すら沸いてきて思わず紹介せずにはいられなくなってしまってですね、いやほんと、見れば見るほど発見があって無限に面白いですね、ミリアニは。