細かすぎて伝わらないミリアニ感想第9話分です。
「美希ちゃんって歳は一つしか違わないのにおしゃれで格好良くて、ステージも凄いこと余裕でやってる感じで、憧れちゃうなあ」

「美希ちゃんが遅くまで残って練習してるなんて意外」

翼って本当に美希が才能だけでアイドルやってると思ってんだなあと再確認できるシーン。
自分がそうだから自分よりもっとすごい美希ももちろんそうだって考えている。まあ好意的な捉え方をすれば純粋ってことなんですけども。
「次のパフォーマンスはこれね」って指示されれば50%とか60%の力を出すだけで100点が取れてしまう、今まであらゆることがそれで済んでしまっていた翼。「だから翼はそもそも本気の出し方を知らない」っていう指摘をニコニコのコメントで見て「なるほどな」と思いました。
実際にはアイドルのステージに「ここまで出来たら100点」なんてボーダーは無い、もっと言ってしまえばそんなボーダーを設定してパフォーマンスをすること自体おこがましい・・・と翼以外の全員が考えています。

未来たちだって紬や歌織が加入した頃には2人が驚くようなレベルのパフォーマンスを笑顔でこなせる程度の実力はもうとっくにあるんですよね。「このくらいでいいよね」って考えているのが翼だけっていうだけで。
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「このままだと未来たちに負けちゃうよ」

美希が実際に言ったのは「翼、もうすぐ負けちゃうかもね」なんですけど、翼にはこう聞こえたという表現。本気を出したことが無いのはそもそも今まで負けたことが無いから。「負ける」という指摘をよりにもよって美希から受けたショックと混乱ぶりが如実に表れています。
美希に「本気を出さないと負ける」と指摘されても、まだ翼には本気が何なのかすら分からない。しかし彼女にとって幸運だったのはあるべきアイドルのお手本がすぐ身近に、何人もいたことでした。

朝練を終え、他のチームメンバー同様に肩で息をする翼。
ここまでで翼が息を切らす描写があったのは第2話のオーディション後のみです。ようやく彼女も未来たちと同じ場所・アイドルとしてのスタートラインに立つことができました。
「本気って、なに~!?」

とはいえ今日の体験こそが「本気を出す」ということなのだと気づくのはもう少しだけ先の話。
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「それじゃ春香、いつものやついこうか」

ライブ前の円陣、アニマス時代から変わらない姿。
・・・が、ミリアニ第1話で未来たちが初めて見たステージ、つまりミリアニの裏でずっと続いているASツアー公演の最初の頃とは決定的に変わっているところがあります。

当時はバックダンサー組が円陣に加わってなかったんですよね。
それがいつの間にかバックダンサーであるミリオンスターズまで含めて円陣を組むのが”いつもの”、当たり前の光景になっている。
39人もの後輩をどう迎え、どう育てるか? 彼女たちのポテンシャルをステージ上で最大限まで引き出すために自分たちはどう接するべきか? 先輩であるAS13人も悩み考え成長しているからこその変化です。
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ちなみにムビマスのM@STERPIECE直前の円陣をあらためて確認してみますと

まあ映画の流れで可奈たちが加わってないわけないか。
第1話を見たとき「あれ?」と感じた円陣の違和感、あれはASの成長を描くためにわざわざ改変されていたんだと気づいた瞬間でした。
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Team8thの面々が初めてアイドルのステージに立つシーン。
第9話にしてようやく未来たちのステージシーンが描かれることの溜め、百合子と春香が言葉と例えでステージからの光景を説明するものの実際の描写は行われないことによる溜め、そしてこのシーンがバックステージから始まるという溜め。
あらゆる部分を溜めに溜めまくり

セット越しにREADY!!のイントロが聞こえてきた瞬間吹き飛ぶPたちの情緒

3・2・1のカウントダウン

ドッ!!!

5人が初めてステージ上から目にした輝きの世界。
筆者が初めてミリオンのライブ現地に赴いたとき仰天した「圧」、この熱狂の「圧」の津波をステージ上で真正面から浴びたらどうなるかっていうのを映像・音響・心理効果etc…あらゆるものを総動員して一気にぶつけてくる。映画館で見たときは溺れているかのような錯覚に陥るほどでした。

これがアイドルのステージなんだっていう説得力。
すごい、本当にすごい。
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今日はバックダンサーだった静香に、今度は「一緒に歌ってもらえないかしら」と告げる千早。

ASがミリオンスターズを一人前の仲間として認めたことを示しつつ、口下手で人と接するのが苦手だった千早が、自ら先頭に立って後輩たちを更なる高みへと導いていきます。
細かすぎて伝わらないミリアニ感想第10話延長戦
細かすぎて伝わらないミリアニ感想第10話分です。
会話しない最上親子で始まる回。

なんなら静香父とは源Pの方が全編通じてよっぽどしゃべってるという。
実際には会話してるんだろうなっていうシーンはちょいちょい挟み込まれるんですけど、静香と父親が台詞付きできっちり話しているシーンはミリアニには1度も登場しません。
一方あれだけこじれていても静香は「いってきます」「ただいま」は欠かさず言う。父親の方も娘の言うアイドルというものを理解しようと原っぱライブにまで足を運んだりする。お互いにお互いを大切に思っているのは承知していながら、自分の気持ちを言葉にするのが苦手でしかも頑固という似たもの同士であるが故にこじれてしまっていた2人の関係。
「言葉を尽くすより音楽には心に染み入っていく力がある」

教会の男性が語ったこの力は、アイドル最上静香の持つ大きな才能。千早が静香をこの仕事に誘った理由も音楽の持つ力の強さと、静香自身がその音楽の力を何倍にも引き出せるポテンシャルを持っていると本人の体験を通じて気づいて欲しかったため。そしてこの力が最上親子の問題を解決する鍵にもなっていきます。

千早の期待に見事ステージ上で応えた静香、そのパフォーマンスは父にまだ静香が小さかった頃の出来事を思い出させ、思い出は今の静香が目指すアイドル像と重ね合わさりました。
会話しない最上親子で始まって、会話しない最上親子で終わる回。

この回の最初と最後の対比のため、敢えて描写されなかった2人の会話シーン。第8話であれだけ言葉の大切さを語っておきながらこれやるんだから、恐ろしいよねえ・・・。
言葉の力が人を変える、そして音楽の力も人を変える。
見る者を惹きつけて放さないアイドルにはそのいずれも必要ということなのかもしれません。
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今回の話に他にも登場する自分の気持ちを言葉にするのが苦手な人物・千早。

チーフたちの力を借りたりしつつ、自ら先頭に立って後輩たちを導いていく”ミリオンライブの千早”像。ミリシタ内でも何度か描かれているものの、何度見ても良いもんだなあと。
もう一人登場する自分の気持ちを言葉にするのが苦手な人物・志保。

伊織が似ていると言ったのはこういうところだったんだろうなと。こちらも等身大の表現が見事でした。
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最後に既に今回の連載のメインテーマになっていると言っていい”今回の伊吹翼”。
「本当に、かっこいいんですよ!頑張って悩んで、全部本気なんです!目が離せなくなっちゃいますよ、私がそうだったもん!」

静香の父を説得している最中、珍しくムキになった翼の口から恐らく無意識に出たであろう”本気”という単語。
前回のライブ後でもまだ「本気って、なに~!?」と言っていた翼が本気とは何かを知った瞬間。覚醒に向けた全てのピースがこれで揃いました。