そもそも新規はこんなとこ来ないとか言ってはいけない茜ちゃんSHS復刻記念SS集

・・・新規P、新規P、私の声が聞こえていますか?
そう、ミリアニから入ってミリシタを始めて、最近ちょいちょい私に同僚申請をくれるあなたのことです。今あなたの脳に直接語りかけています。

本日27日15:00から31日15:00まで、あなたも知っていないはずが無いあの茜ちゃんにセカンドヘアスタイルガシャ復刻がやってきます。

一人だけ作画コストが10倍くらいかかってそうな動きをしていたあの子です、思い出しましたね?

あの茜ちゃんにはセカンドヘアスタイルというもう一つの大量破壊兵器としての姿があるのです。

「お前は何を言っているんだ?」今あなたはそう思いましたね。SHS茜ちゃんがどれほど危険なものなのか、それが分かる資料をお見せします。

わかりましたね? 茜ちゃんは至高なのです。

復刻ピックアップ開催期間のうち28日15:00から24時間のあいだのみSHS茜ちゃんのカード的中率は爆増します。この瞬間を逃す手はないのです。茜ちゃんSHSを手に入れるのです。

よろしく頼みましたよ・・・。

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4話は台詞2つでまとめられるよと思ったけど結局まとまらなかった話(第4話ネタバレ解説&感想)

お察しのとおり大変な労力がかかっているミリアニ全話解説&感想シリーズもこれでひとまず第1幕完走。第4話分です。

たった12話の尺の中に可能な限りの奥行きをつけるため、ミリアニは劇中歌や日常会話、ほんのわずかなカットまで至る所にダブルミーニング、トリプルミーニングの演出が仕込まれているというのは既にご理解いただけていると思いますが、第4話ではその演出の冴えが第1幕最高潮を迎えます。

第3話のなかでアイドル・スタッフが次々に口にした「待ちきれない」の言葉。
何か今できることは無いかと未来が未来なりに考えそして辿り着いたのが、劇場建築の資材置き場にも使われている隣接する空き地で「原っぱライブ」を開催するという企画でした。

これがミリオンライブの原点である空き地に建てられた”手作りの「ぶどーかん」”を産むきっかけになるのは間違いないんですが、これについては第2幕へ。

未来から企画を案内するメッセージを受け取るシーンでグリマス時代のアイドル37人が遂に全員登場します。このシーンがまずポイントで、突拍子も無いアイディアに対するリアクションという形で、アイドルの顔と名前、そしておおまかな性格までを伝えていきます。

また複数人で端末を覗き込むグループがいくつかあり、それぞれのグループの構成は第4話中では基本的に入れ替わりません。現時点ではこの子とこの子が仲良しなんだよというところまでの説明になっているわけですね。

真っ先に企画に食いついてきたのはもちろん茜。
事務所へ飛び込んで来るなり「なんでもあり」の原っぱライブを絶賛するだけして、各アイドルへ根回しのために飛び出していきます。しかしまだ何も決まっていなかったライブの内容は、伝言ゲームを重ねるうちに「なんでもありのお祭り」という話に。

やっとファンの前に立てるとやる気をみなぎらせる子や何故か屋台の準備を考え出す子がいる一方で、思いつきの企画を不安がる子も出てくるなど反応は様々。そんな様子を目にして当の茜は自分が火を付けた企画がノーブレーキで進んでいく様に不安を覚えはじめます。実は常識も分別もある茜、ただそれに従うことはあまり無いんですけど・・・。

徐々に広がっていった不安と混乱がロコアートが倒壊するという出来事によって顕在化したとき、Pは皆に一旦ストップを号令しました。

まだ未完成のホールに集合したアイドルたち。
一瞬入った俯瞰のカットを確認すると、ここでもアイドル達はいくつかのグループに分かれていて、これが誰と誰が仲が良いかをもう一度説明しつつ、それぞれのグループ同士はまだ不自然なくらい離れているという微妙な距離感を表しています。各グループの間を飛び回っていた茜だけがどのグループにも依っていないというのも細かい演出。

原っぱライブについて話し合おうと思うと言うPに「なんでもありなんやろ?」と返す奈緒。こういう場面で臆せず発言ができるのはさすが一期生のまとめ役でお節介焼きでおしゃべりな奈緒らしいところ。そして根回しの際「なんでもあり」という単語を最初に発した茜は傍らで肩を跳ね上がらせます。

いつもありのままの感情で人と接しているぶん、他人から負の感情を感じ取ったときには人一倍傷つきやすいところがある茜。このあたりは彼女のナイーブな一面を知っていないと登場以来やりたい放題だった彼女が急に焦り出すのが唐突に見えてしまいかねません。だからこそこれだけ内容を詰め込んだ第4話の中でも事前に話がマズいことになりつつあると思っているシーンを、敢えてこの前に一度描写していたわけです。

身も蓋もなくメタな見方をしてしまうと、ここで奈緒と茜という口の回る2人が全力プレゼンできる環境を作ってしまうとそれだけで流れが決まってしまいかねないため、それを防ぐ目的もあるはず。

メンバーの心がバラバラになりかねない今の状況を作ってしまった原因の一端を担ってしまった責任を感じた茜は、いつもなら最も得意とする企画準備の話し合いの場にも関わらずほとんど発言できなくなってしまいます。

しかし、ああ・・・しょげちゃった・・・と思いきや、賛否両論の意見が出る中でもう材料を仕入れてしまったと奈緒がボヤくと、途端に「仕入れ仲間・・・!」と目を輝かせる調子の良さはもはや才能。おい、軽いな!今俺お前の担当としてフォロー入れてたんだけど!?・・・えー、どれだけやらかしても決してめげないところが茜の良いところです! アイドルが躓くたびにすかさずフォローが入るのもミリアニ脚本の特徴ですね。

「仕入れ仲間・・・」は第1幕でも指折りのギャグシーンであると同時に、流れ次第では矛先を自分を向けてくるのではないかと恐れていた一期生の奈緒が自分と同じくらい開催に前のめりな仲間だったと知った安堵感、そして特におしゃべりなこの2人でさえお互いの状況を把握していないというこの時点での距離感などがまとめて表現されています。

力を合わせて企画開催したフェスが大成功しているエピソードが既にミリシタに実装されていたりするぶん、この空気感はなんとも新鮮ですね。

なんとなくそのままの流れで奈緒はこのあとの議論のまとめ役にもなっていきますが、桃子が感情的に否定意見を並び立てるのを「言い過ぎ」となだめたところ、桃子は売り言葉に買い言葉で「やりたくないって言ってるの!」と叫んでしまいます。個人的に第1幕で一番印象に残った台詞がこの「やりたくないって言ってるの!」でした。

桃子が子役時代幾度となく言い放ってきたであろう「やりたくないって言ってるの!」という台詞。だからこそカッとなったあのシーンで思わず口をついて出てしまったんでしょうけど、今の彼女にとってその言葉は自分から両親を含む過去の全てを奪ってしまった呪いの言葉に他なりません。そこから765プロのアイドルとして芸能界に復帰するまでの期間は彼女の年齢から逆算すると長くて数年といったところ。しかし逆に考えるとまだ11年しか生きていない彼女にとって、そのうちの数年という時間は相対的にはとてつもなく長いものです。

人生の何割にも及ぶ暗黒の時代からやっと抜けだし、育や環、ひなたをはじめとした劇場のメンバーを仲間と感じられるようになってきたその矢先に降って沸いた博打のような企画。あまりに軽々しいノリで交わされる議論に、アイドルの仕事というのはそんな軽薄なものなのか、今の自分にはここしかないと思っていたこの劇場は他の子にとってはその程度のものでしかないのか、”せっかく”また自分の居場所が出来ると思っていたのに・・・と込み上げてくる怒りに任せて意見したところを「賛成派」の奈緒に諫められたことで逆上した桃子は、禁断の、呪いの言葉を叫んでしまいました。

これでまた自分は全てのものを失うことになった。桃子本人はそう思ったことでしょう。
しかしまだ小学生の桃子がいかにも幼稚に「やりたくないって言ってるの!」と拒絶してきたのには個人的には救われた思いをしました。なんか急に子供っぽく駄々をこねられると、年上として同じレベルでやりあうわけにはいかなくなってしまうというか、もう少し格好つけて言うならこっちは大人の対応をしなくちゃって気が沸いちゃって本気で怒れなくなっちゃうんですよね。

一期生の中で一番先輩風を吹かせていた奈緒も、桃子にああ言われてしまうと立て板に水では言い返せなくなってしまいます。一瞬戸惑ったであろう奈緒。ですがその反応こそ彼女が思いやりのあるお姉さんである証拠。自分は「あーあ言われちゃったなあ」と心の中で苦笑して奈緒に同情しつつ、桃子からすると非常に強い拒絶でありながら奈緒からすると正面から打ち返すわけにはいかなくなってしまう絶妙な間隔を突く脚本のセンスにただただ脱帽していました。

「休憩はいいんだけどさあ・・・」と台詞が入り再び俯瞰のショット。
桃子ほか数名が出て行ってしまって人数が減ったホールはお互いの距離が広がりさらに寒々しく見えます。さっきは1人で立っていた茜は、いつの間にか移動して麗花・美也グループのところへ。少し調子を取り戻したとはいえ、拭えない不安から麗花たちに話しかけずにはいられなかった心境をワンカットで表現しています。

桃子は劇場の廊下に一人で座っていました。
物陰から彼女を見つめるだけで何を言って良いか分からず二の足を踏んでしまう琴葉、そこへ現れたのは劇場一のポーカーフェイス少女・瑞希。日頃から大人っぽい落ち着いた女性になつきやすい桃子にとっては正に頼れるお姉さん、一目置いている相手です。

おもむろに桃子の前に跪いた瑞希は特技のマジックを披露・・・したものの失敗。しかし桃子の顔には笑顔が戻りました。

失敗してもあくまでポーカーフェイスのまましょんぼりする瑞希がおかしかったのもあったでしょうが、笑顔になった大きな理由は「あの一言でまた皆が離れて行ってしまう」と思っていたに自分に、すぐ寄り添いに来てくれる仲間がまだいたという安心感からのもの。一気に気が抜けた頭で考えてみればあの企画自体プロジェクトの全てが掛かっていると言うほど大仰なものではなく、何をムキになっていたんだろうという自分への呆れの意味もあったはずです。

桃子の心がほぐれたことを確認した瑞希は原っぱライブについて「やってみると何かが伝わることもあるのかもしれません」と説きます。ああ見えて生粋のギャンブラー気質な瑞希はこの博打みたいな企画には恐らく初めから大賛成なんですよね。瑞希のマジックは素っ頓狂な結果に終わりましたが、しかし桃子を笑顔にすることは出来た。皆が素っ頓狂なことばかり言うライブもやってみればきっと誰かを笑顔にできる、それならやってみる価値はあるんじゃないか、だって誰かを笑顔にすることこそがアイドルの本分なんですから。

瑞希はわずかに微笑んだだけでしたが、彼女なりの想いを伝えるにはそれで十分でした。

問題が解決したことに安堵する琴葉の前には気配りの天才まつりが現れます。
ただまつりも瑞希と桃子の元へは行かず、ただ物陰から見ているだけ。これは「また自分は何の力にもなれなかった」と自己嫌悪に陥りがちな琴葉に対するフォローでもあります。”あの”まつりが状況を静観するという判断をしたのなら、静観するしか出来なかった自分の行動も結果として正しいことだったんだと琴葉に思わせたんですね。

話が一段落した桃子の元へ駆け寄っていく育と環の後ろには、タイミングを見計らって2人の背中を押してあげたひなたの姿が、また別の物陰には当事者の大人として桃子の様子を窺いに来た奈緒とその相棒である美奈子の姿もありました。

桃子が「やりたくないって言ってるの!」と言ったのにも理があり、皆それを理解している・・・というのが、桃子を心配して駆けつけてくる何人もの仲間という形で表現されています。第4話は登場アイドルが37人もいるからこそ使える贅沢極まりない力業、そして彼女たちにとっての見せ場でもあります。

群像劇としてのミリアニの完成度の高さはここに象徴されていると言っていいでしょう。キャラクターの理解、動かしかた、間の取り方、全てが惚れ惚れするほど美しい。

とはいえ、新規視聴組にも納得のいく説明をしなくては原っぱライブ開催の流れには持って行けません。
そしてその役割に最もふさわしいのはもちろん劇場組一番の新人で、誰にでも分かる言葉で自らの気持ちを語れる企画の発案者・未来。彼女は桃子の周りで起きたもう一つの出来事については知るよしもありませんでしたが、翼の見事な機転の助けも得て劇場内の全員に自分の考えを伝えることに成功し、遂にアイドル達の心はまとまりました。

後に”小さなキセキの日曜日”と歌われることになるその日に向けて、シアター組は未来を先頭に一つになって走り始めます。

→ テレビ放送後の感想延長戦・第4話

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Glow Mapはいいぞおじさん、意外といい線を突く話(第3話ネタバレ解説&感想)

ミリアニネタバレ解説&感想シリーズ第3話です。

765プロのオーディションに合格し、ついにアイドルの第一歩を踏み出した未来と静香。しかしここはただの芸能プロダクションではありませんでした。

劇場外でガラクタを積み上げてアートを語り出す奴、白馬の模型に乗って現れる自称姫の奴、事務所内でキャッチボールする奴、某事務員ばりの特殊背景まで展開して妄想し始める奴、ほぼ無名状態の自分のアイドルグッズを勝手に企画発注し山積み段ボールが送りつけられてくる奴。

むせ込むほどのトンチキ。

知らなかったのか? トンチキは今や765プロの代名詞なんだ。

今回は劇場版アイドルマスターにも登場したシアター組一期生の妄想文学少女・百合子に焦点が当たります。
後輩という存在を前に発憤する彼女ですが、未来たちにも昴にも果てはダンスレッスンの先生にまでペースを崩され「ええぇ~・・・」の連発。


無事お馴染みのポーズにて撃沈するに至りました。
ここで百合子が意気消沈してスランプに陥ってしまってもおかしくなさそうなところ、すぐ異変に気づいたのは先ほど白馬(の模型)に乗って現れた自称姫のアイドル・まつり。

すばやく話題を変えてまだ建築途中の館内を案内すると宣言し、一同は”大臣”に工事現場見学の許可を貰いに向かいます。大臣、実在したのか。そして強面の現場監督大臣は「まつり姫が言うなら仕方ねぇな」とお願いを快諾。仕方ないのか・・・いや待て、今このおっさん”まつり姫”って言ったぞ。

まつりが現場工事スタッフの心を掴んだきっかけは彼女が振る舞った差し入れらしく、初見では誰しもがエキセントリックな印象を抱く彼女には気配りの天才という別の一面もあることが示されます。

ここまで丁寧ではないにせよ、キャッチボールのヤバい奴・昴にはいかにもスポーツマンらしい気さくな一面があり、グッズ無断発注のヤバい奴・茜には彼女なりに考えた売れっ子になるための長期的なプランがあるなど、その場その場でアイドルたちは各々の哲学や考えをしっかり持っていることが明示され、これが第4話で37人ものアイドルがそれぞれの意見を口にするシーンを下支えする柱として機能していくことになります。

なお無断発注された大量の茜ちゃんステッカーは劇場公開来場者特典として無事処分活用された模様。

あれ?そういえばアートのヤバい奴・ロコだけフォローが無かったって?
ロコのパーソナリティをきっちり説明するのはロコアートを説明するのと同義だから山場として持ってくるならもっと後でしょう。予告編で既に明らかになっているとおり、彼女にはこの先ミリオンライブを象徴するシンボルを多数デザインしてもらう大役が控えてますからね。今はまだ独りよがりなアートを作っている彼女が、皆に理解され、また彼女が皆を理解したときがそのときになるはずです。

そして山場は百合子が見せた別の顔。
既にアイドルのステージに立った者として感想を聞かれわずかに考え込んでしまった彼女ですが、再び絶妙なパスを出したまつりのアシストを受け先輩アイドルとしてASのステージに参加した際に見た光景の素晴らしさを新人3人に伝えます。

劇場から見える星空と夜の街の輝きを客席のペンライトに重ねるのはいかにも文学少女らしい表現。今、目の前に広がる光は命であり、アイドルのステージと客席のペンライトはこれと同じ人々の営み、命の輝きに見えると語ることで、第2話で唐突にPが口にした百万の命の輝き・ミリオンライブという概念が補足されます。

・・・でね!あのね!
ミリシタにはGlow Mapっていう3周年のときの記念曲があって、管理人が初めて現地参加したミリオン10thライブでGlow Mapがペンライトの光の中で大歓声を浴びてるのを見た時、誇張とか一切なく本当に大泣きしたんですよ。このへんの細かい話は今年もう4回くらいしてるんで全部省きますけど。

新型コロナという未曾有の困難の下でもそれぞれが出来ることをやり続けた運営スタッフやPたち一人ひとりの営みの光は、俺たちはそれでもこの劇場を守り抜くんだという意思の光であり、それらが結びついていく姿はそれこそ輝く地図のようでありました。自分の副業が医療従事者なこともあり比喩抜きで命そのものを意識することも一度ならずあっただけに、遂に夜明けを迎えペンライトの光と万雷のコールが戻ってきたあの時のステージそしてライブ観客席の光景は本当に命の輝きに見えたんです。

百合子の語りを聞くうち、自分もスクリーンに大映しになった夜景と名古屋10thライブの思い出を重ねていました。あの感動を何度でもファンに届けたい・・・百万の命の輝き・ミリオンライブ、わかったよ!今度は俺にもわかった!

ペンライトを振るライブ自体1度しか行ったことがない筆者にもこんな思い出があるんだから、アイマスに限らずこの手のライブに参加した経験がある歴戦の猛者諸兄にもあの夜景に重なる光の情景が記憶のどこかにあったのではないでしょうか。

筆者は折に触れGlow Mapのことを思い出して泣くビョーキにかかっているため、映画館でこのシーンを見ながらGlow Mapを思い出したのはいつもの発作かと深く考えずにいたんですが、後日ミリアニの精神であるテーマ曲・『Rat A Tat!!』を作曲された佐藤貴文氏がこんな発言をされておりました。


あああー!そうか!そうだよなあ!やっぱりあれはGlow Mapだったんだなあ!!(また泣く)

先にステージに立ったアイドルとして胸の内を語り、未来たちとの心の壁を取り払ったところで百合子は自ら自分のことは呼び捨てで呼んで欲しいと告げました。ここで劇場組では一番古株の百合子が一番新顔の未来の手を取ることで劇場組37人の立場がオールフラットになったって指摘を見かけたんですけど、あー、なるほどなあって大きく頷いちゃいましたね。

ついでにまたメタな解説をすると、百合子は未来や静香よりも1歳年上なのに呼び捨てにされていて、その理由は「百合子が百合子だから」なんてネタにされてたんですよね(実際にはさん付けだったときもあったりして表現にブレがある)。

長期コンテンツ故の設定のブレをネタにした、要はファンの間でのお遊びだったんですけど、それをさん付けと呼び捨てが併存する新しい世界を作ることで解決してしまう展開の妙にも賞賛の声が上がっていました。

更に付け加えて賞賛させていただきますと、百合子が自分を呼び捨てにして欲しいと口に出来たのはそれより前のシーンで昴が”自分と百合子は1個年上だけど呼び捨てでいいぜ”と前振りしていたからで、これが上述のとおり昴の気さくさを表現しつつ、後で百合子に小さな勇気を出させる布石としても機能しています。

1つの発言にいくつもの意味を持たせ、たった12話というあまりに短い尺の物語を超重厚に仕立て上げるという手法がミリアニでは多用されまくってますが、これはまだ序の口。第4話では凄まじいまでの職人芸が爆発します。

→ テレビ放送後の感想延長戦・第3話

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ミリオンP歴7年目にしてようやく翼が少し分かった気がした話(第2話ネタバレ解説&感想)

ミリアニネタバレ解説シリーズ第2話です。

文句なく劇場公開第1幕のクライマックスでしたね。

まず語りたいのは「翼が静香の背中を押したこと」について。
このみさんのアドバイス(?)を得て「人数半端になっちゃったからちょっと一緒にやってみて」と、未来・静香のオーディションステージに立つことになった翼。

練習段階から圧倒的なポテンシャルを発揮し、急遽サポートで入ったオーディションのためのステージも難なくこなします。未来も彼女なりに精一杯アピールする一方、静香はプレッシャーに押しつぶされもはや声も出ない。とうとう足が止まった瞬間、未来と翼に背中を押され・・・となるわけですが、夢を語り合い一緒に練習してきた未来はともかく、ここではさっき出会ったばかりの翼も未来と同じ強さで静香の背中押すんだ・・・というのがちょっと意外でしたよね。

ミリシタ内においても翼の行動って未だに自分には読めないところがあるんですけど、このシーンに関しては第1幕を全て見た後で考えるとすぐ納得いく答えが浮かびました。

アニメ中で口にしていた「面白くなりそう」と以前から翼がちょいちょい口にしていた気がする「つまんなーい」、これが翼の行動原理なんですね。

オーディションのステージで静香の背中を押したのは「そうしたほうが面白くなりそうだから」だけで説明つくんです。

結果としてこれが765プロの運命自体を変える結果になったのは後の第4話のシーンも然り、「ここでどうするとこの先がもっと面白くなりそうか」を察して行動出来るのが天性のパフォーマーの資質、もっと言ってしまえばトップアイドルになるための重要な資質でもあります。

行動原理は極めてシンプルなのに翼の考えを一筋縄で掴みきれないのは、一見すると言動が小悪魔そのものなのに判断基準は「自分が面白いか」ではなく「自分たちが面白いか」になっているためで、自分だけが楽しめても結果として周りの空気が悪くなったらそれは「つまんない」。逆に自分がいくらか損するとしても結果としてみんなが楽しく終われたらそれが「面白い」、彼女はそう考えられる子なんです。

普段から気遣いすらあまりに苦も無くこなしてしまうせいで分かりづらいことも多いところ、これを過不足なく描きあげる劇場第1幕の翼の表現は実に見事でした。

それから翼があのステージ上で「静香の背中を押した方が面白くなる」と判断したことをもう少し深読みしてみると、彼女の心中のまた別の側面も見えてきます。

ここで静香の背中を押したらきっとこの後が面白くなる、翼はあの瞬間に未来と静香がアイドルになって自分と同じステージに立つことを望んだわけですが、そもそも彼女自身あの時点ではアイドル活動をする動機が”何かいいご褒美をもらいたい”くらいのもので、まだかなりふわふわしてたはずなんですよね。

3人で同じステージに立つ姿を想像したとき、翼も夢への扉を叩いたのかもしれません。この2人と一緒にいるときっと面白いことが起こる、彼女の直感がそうささやいたのでしょう。ここから翼は未来・静香と行動を共にするようになります。

彼女たちの全力のステージを目にしたPは、その先に765プロの新人アイドルたちがやがて現実の物とするあろうステージの幻影を見ます。いかにも漫画的な演出ではあるものの、見る者全てを魅了し熱狂の世界を作り上げる力こそアイドルを目指す者に求められるスキル・・・と考えればあながち突拍子も無い表現ではないような気がしてきませんか? まあ何にせよとにかく盛り上がるしな!

百万の命の鼓動・ミリオンライブ、言葉の意味は良く分からんが

と言わざるを得ない圧巻のシーン。

「見えたんだろう?」とPに声を掛ける高木社長。
この台詞でこれまでにプロデューサーとしても幾多のアイドルを手掛けてきた社長もかつて同じ経験をしたことがあるのが分かります。3人の新たなるアイドルが生まれたとき、それは765の新人Pが手掛けるプロジェクトのビジョンが固まったときでもありました。

やや余談となりますが、ここで使われたミリアニテーマ曲の”Rat A Tat!!”ともう一つのイメージソング”セブンカウント”って、どちらにも歌詞の中に扉を叩く表現があって、どちらの歌の中でも扉はただ叩かれるだけで終わってしまうんですよね。あれにもちゃーーーんと理由があります。

この制作陣ならほぼ間違いなくギミックを仕込んでるだろうし、本編で初めて見て「うおおお!」ってなってもらいたい気もするんで、ここまで話して「あ、わかった!」って人と「我慢ならん!」って人だけ下のリンクをクリックして答えを確認してください。

扉が開くシーンが無いのは、扉が開く場面がまた別のところに用意されているから。 つまりそれは・・・

クリックして表示

ほんとどこを切り取っても油断ならねえよ、このアニメは・・・。

→ テレビ放送後の感想延長戦・第2話

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最初のライブシーンが”あの曲”だった時点でミリアニ完成度の異次元の高さを確信した話(第1話ネタバレ解説&感想)

前回の記事執筆後もずっとミリアニのことを考えていたらあまりにも語りたいことが多くなってしまったため、急遽ミリアニ全話ネタバレ解説&感想シリーズをすることにしました。

ストーリーをなぞるのではなく主に脚本や演出の細かいところを自分なりに解釈して解説したつもりのものなので未視聴だと訳の分からない話になってしまうと思いますが、一度アニメを見たうえで読んでいただければそこそこ楽しんでもらえるんじゃないかなあと考えております。

ミリアニ第1話は未来ちゃんがASのライブを見て765プロのオーディションを受けることを決めるというアイドルものの王道展開だったわけですけど、ここでの選曲が『TOP!!!!!!!!!!!!!』だった瞬間、多くのPが「え!?」と思ったことでしょう。俺だってそう思った。あまりこういう象徴的なシーンで使われたこと無かったですもんね。

はじめにメタ的な視点から読み解くと、”劇場版アイドルマスター 輝きの向こう側へ”のテーマ曲だった『M@STERPIECE』はPS3版アイドルマスター第2作・ワンフォーオールのMVでいきなり前代未聞の13人ステージが始まってPたちの度肝を抜くという形で実装されており、同作をプレイしたPにとってはOFAを象徴する曲としても記憶されています。

一方の『TOP!!!!!!!!!!!!!』はPS4版アイドルマスターシリーズ第2作・ステラステージの代表曲。

「”輝きの向こう側へ”以降、つまり『M@STERPIECE』以降のASの代表曲」と考えたとき自然と名前が挙がるのが、PS4版アイドルマスターシリーズ第1作・プラチナスターズの代表曲『Happy!!』と、第2作の代表曲『TOP!!!!!!!!!!!!!』なんですよね。

「劇場版アニマスの続編・・・とははっきり言わないけど、まあなんていうか、そんな感じの、アレよ」というミリアニの立ち位置を示すのに、『M@STERPIECE』→『TOP!!!!!!!!!!!!!』という流れを暗示的に持ってきたというのが「こいつ、やりおる・・・」と最初に唸ったシーンでした。

そんな感じで既存P向けのちょっとしたサービスなのかと思ったら更に唸らされたのが歌詞に合わせたシナリオの展開です。もう5年以上前から数え切れないほど聴いているはずの歌詞にASの新たなパフォーマンス映像とそれを客席から眺める未来・静香の姿が重ねられると、その内容に「・・・マジで?」となるという。

”ToP!!!!!!!!!!!!!
始まる物語(ストーリー)
好きな夢描いたら
本当の自分探しに行こう
終わらない道(ストリート)
どんな日も乗り越えて
まっすぐ進もう
みんな信じて

I CAN DO IT NOW!”

探し求めていた夢は今目の前にあると未来ちゃんに気付かせるきっかけとなった曲、叶えたい夢のために踏み出すことを静香に決意させるきっかけとなった曲。そこで使われている曲の歌詞がこれなんですよ?

・・・これ既存曲・・・でしたよね? このシーンのための書き下ろしじゃないっすよね・・・?

そしてこの曲を最も象徴する歌詞の部分、春香が『ガンバレ!』を歌った瞬間

先ほど開演前の客席で「ガンバレ!」と叫んでいた未来ちゃんの意識がステージの上のアイドル・春香とシンクロし、自らがアイドルになってあのステージに立つこと、それが自分の夢なんだと気づくという・・・予告で使われてたあの「ガンバレ!」ってシーン、え?あれ単なるギャグじゃ無かったの!?伏線だったの!!?

スタッフの愛と知識と情熱の篭めようにもう変な笑いが出てました。
何か、何かとんでもないものが始まってしまった。皆さんも恐らくこのあたりからミリアニを見る姿勢が変わったと思います。

まあこのシーン、開始10分かそこらのとこなんですけど。

ライブ終演後も『TOP!!!!!!!!!!!!!』の余韻は覚めません。
今度は夜の公園で静香がこの曲を歌うシーンで、ラストの歌詞を飲み込んだところに未来ちゃんが「WE CAN DO IT NOW!」と割り込んできます。

そこの歌詞は「WE」じゃなくて「I」だと訂正する静香。『TOP!!!!!!!!!!!!!』は1番が「I CAN」で、2番が「WE CAN」なので静香の言ってることが正しいんですが、最初の1番から「私たちは出来る!」と言い切れてしまう未来ちゃんと、「私は出来る」とすら歌えない静香の心境、そして環境の違いがここで浮き彫りになります。

ライブに行くと言ったら双眼鏡持ってきなと言い自分たちの時は演者が米粒にしか見えなかったとケラケラ笑い合う未来の両親と、自分の夢について語ることすら許そうとしない静香の父親。溢れ出る行動力がありながら夢を見つけられなかった未来と、譲ることの出来ない夢を持ちながら最初の一歩が踏み出せなかった静香。あらゆるものが対照的な2人。

そんな2人の道が重なり合って「WE CAN DO IT NOW!」ともう一度未来が叫び

アイドルマスター ミリオンライブの幕が上がる。

第1話部分終了の時点であまりの完成度の高さに呆然としたまま泣いておりました。
想像していたものの遙か上なんてもんじゃない。自分には想像すら出来ないレベルのものが来てしまった。

多分これ、何も知らない人が見てもめちゃくちゃ面白いと思いますよ。『TOP!!!!!!!!!!!!!』に関する予備知識全部抜いても未来がアイドルになることを決意する流れや未来と静香が対照的な境遇であることは十分分かりやすく描かれてますし、そんな2人が手を取り合う展開の熱さは伝わってきます。ひたすら清々しく王道を行く展開、それなのにとにかく面白い。こういうのは初見でも面白いもんなんです。

気力と才能に溢れた大人たちが、自分たちの持てる全てを出して自分たちの好きなものを好きだと叫ぶ。それを目の当たりに出来たこと、そしてこの愛すべき大人たちと同じものを自分が好きでいられたという幸運に他ならぬミリオンライブで巡り会えたことに自分は今深く深く感謝しています。

ならば俺も、この大人たちには及ばずとも、再びミリオンライブが大好きだと叫ぼう。
全く予定なんか無かったけど今はもう語らずにはいられない。ミリアニ全話解説シリーズ、やらせていただきます。

→ テレビ放送後の感想延長戦・第1話

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