今回からは第2幕です。
見た直後は「あれこれ今回あんま書くこと無えな?」と若干焦ったんですけど書き上げてみればご覧の有様。自分の頭の中を整理するための副産物みたいな記事になっちゃってますが、引き続きお付き合いいただければ幸いです。
第1話で喰らった『TOP!!!!!!!!!!!!!』抜擢の衝撃。
にも関わらず、第2幕開始早々の「原っぱライブの選曲はぴったり合うものをPがASの曲から選んでくれている」という台詞を完全に聞き流してしまった自分。
そしたら奇襲であのイントロ、「え?『We Have A Dream』!? 出だしってどんなだったっけ・・・あ!!」ってなもんで、見事にやられましたね。
”私たちのこと
知らなくても
これから覚えてよね
「はじめまして」とか
言わないけど
お願い よろしく!”
ぐおおお!あのP!手作りライブでデビューしたかしないかのアイドル達が歌う曲にこれ用意してきたかあ!! 歌詞がドハマリしていたのはもちろんですが、『We Have A Dream』を見て自分が悶絶したのには他にも理由があります。
『We Have A Dream』は2012年にリリースされたパチスロ機のテーマ曲として作られた曲。2012年と聞いてこの動画を見て「あれ?」と思った人がいたら相当なアイマス通です。
ASの年齢が1歳上がってキャラデザイン等が一部リニューアルされた新作ゲーム・IDOLM@STER2がリリースされたのが2011年。にも関わらず2012年製の『We Have A Dream』はXbox360版IDOLM@STERの世界観のまま。なのでMVに響と貴音は登場しません。
開発時期等の都合で最新展開と足並みを揃えられなかったとかなんとか言われておりましたが、要はアイマスの歴史において2ndVision全盛時代にぶっ込まれた特異点のような曲なんです。
登場はしたもののまだ合流していない紬・歌織の姿は響・貴音と重なり、未来たちのパフォーマンスも垢抜けきっていない。特異点のような時間に開催された幻のライブに特異点の曲を持ってくる、この曲がこの場面に採用されたこと自体アイマスの歴史になぞられたネタになっているんです。
加えて1話では未来たった1人の前でも「”I” CAN DO IT NOW!」と歌えなかった静香が、ここではお客さんたちの前で「”We” Have A Dream!」と仲間と一緒に歌うんですよ!いいですよねえ!!
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さて少し話は戻りまして、原っぱライブ開催に向けて一丸となって動き始めた未来たち。イベント案が書き連ねられた資料とホワイトボードには「誰に、何を」任せるかのメモがびっしりと並び、アイドルたちがお互いの理解を深めた様子が見て取れ、レッスン風景を見ていたロコはその場で会場のテント・”手作りの「ぶどーかん」”のイメージ図を描き上げます。
仲間に思いを馳せたデザインは今までの劇場の外で独り作っていたアートとは一線を画すもの。その場で全員の心を掴み、是非もなくデザインの実現化に向けた活動が動き出します。テント制作のお膳立てをしてくれたのは再び登場の現場大臣、あのおっさんほんといいキャラしてんな。
作業は泊まり込みになり、Pが寝袋を用意したシーンで未来ちゃんが転がり回る事前公開PVでもお馴染みのシーンになるわけですが・・・もう俺は学習した。事前公開のネタシーンは大体後に続くでかい伏線になっている!
・・・というわけで芋虫ムーブをかます未来ちゃんと仲間達のやりとりを夢見心地で聞いていたロコは、翌朝夢で得たインスピレーションを基に「幼虫がさなぎに、そしてさなぎが蝶になるように」との想いを込めた765プロライブシアターのシンボル・パピヨンマークを完成させます。
ロコが皆を理解し、また理解されたときがロコのデザインするシンボル完成の時。3話からの繋ぎを綺麗に回収してきました。
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事務所でアイドル契約を終えた紬と歌織が原っぱライブ会場に到着したのは、テントでのライブが最後の一曲になる頃でした。
披露されたのは第5話のサブタイトルにもなっている「未完成の”Thank You!”」。ここで未来はオーディションでも見せたあの幻影の中で紬と歌織に手を差し出しました。実は第5話冒頭に映る企画書の頭には「原っぱライブは企画者である未来を中心に」と明記されており、既にシアター組は未来が中心的存在であることを認めています。そしてここで今度は紬と歌織に手を差し伸べることで、未来は39人のメンバー全員からセンターとして認知されたことになります。
また、このシーンは第1話で春香が未来にアイドルになることを決断させたシーンの立場を入れ替えた再現になっており、未来もやがて春香のような存在になっていくであろうことを予感させる演出にもなっています。
そうは言っても未来たちはまだ本当にひよっ子のアイドル。
ASのライブを見た後の未来と静香は完全に当てられてしまっていて心ここにあらずになってしまっていたんですけど、未来たちのライブを見た後の紬と歌織は「ちょっと良いもの見させてもらったね」くらいの笑顔で帰って行くあたりに実力の差が垣間見えます。
最後に登場した静香の父が「こんなことなのか?お前がやりたかったのは」と言ったのも決して否定的な感情に任せて言っているわけではなく、現時点での静香たちのパフォーマンスに対する客観的な評価なんですよね。
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さて「こんなことなのか?」と言ってその場を去って行った父親ですけど、娘がアイドルになりたいと言ったら中学生の間だけと言い、アイドル活動も頭ごなしに否定するのではなく実際に自らの目で確認するために会場を訪れるあたり、娘のすることに全くの無理解ではないことが窺えます。親としては断固反対なことでも中学の間だけならばと認めてくれていて、自分なりに娘の夢を理解するため実際に足すら運んでくれている・・・とも言えるわけで。
あの会場には不似合いなスーツ姿のまま1人で現れたのも、好意的に解釈すれば日曜すら休みが取れない中どうにか都合を付けて足を運んだのかもしれません。「こんなこと」は事前にそれなりに期待したものがあったことの裏返し、そして今回のライブの内容は否定しつつもその場でアイドルをやめろとは言わず、Pに頭だけ下げて立ち去るのも娘の決断について一定の理解を示している証拠です。
静香を思い詰めさせてしまっている点は褒められたものではないものの、やるからには中途半端なことはするなというのは個人的には共感できる部分も大いにあります。特に中学生や高校生の時間って大人になってから振り返ると本当にかけがえのないものですから。
このへんの捉え方は見る側の年齢等によっても変わってくるのかもしれません。静香父に一定の共感を覚えつつも、親に反発する姿すら揺るぎなく純粋で真っ直ぐな静香のこともそれはそれで眩しく見えてしまうというかなんというか。常々年を取ったと自嘲してますけど、実際のところ親みたいな視点にも立てるようになった自分に不意に気づくというのは何とも愉快なもんですな。
第3幕でこの問題にはどのような決着がつくのでしょうか。
→ テレビ放送後の感想延長戦・第5話
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