8thライブアーカイブでTRICK&TREATのフシギトラベラーを見ていて、改めて最高のキャラソンだなあと感じ入っておりました。
バイタリティに溢れ自身のセンター公演と学校の文化祭実行委員長のスケジュールを平行して成功に導き、身近に新しいファンまで獲得してPを唸らせる茜ちゃんと、彼女に勝るとも劣らないポテンシャルで個性派765プロのフリーダム筆頭に君臨する麗花さん。
あの2人なら例え誰かに恋をしたとしても、それだけには飽き足らず片手間に世界中どころか宇宙までフシギ探しの旅くらい行ってきそうな勢いがあります。
–
麗花さんは母親がオペラ歌手で父親はそのマネージャーであることが明かされています。この構図自体アイドルとPの関係に近いものです。父親は”普通”、そしてPのことも”普通で素敵”と言っており、他方同僚に褒め言葉として”普通”を使うことはあまりありません。言い回しが独特なのであまり目立ちませんが、自分とPを両親になぞらえて非常に意識しているようです。
彼女が同僚に連発するのは無茶ぶりです。ただそれも人を見て加減しているようで彼女が真の奔放さを発揮する相手は茜ちゃんの他、ジュリアや歩などいずれも頭一つ抜けた実力を持った子ばかり。「この人相手なら全力で好きな放題やっても大丈夫」という彼女なりの甘え方なのが分かります。
これらを考え合わせるとアウトプットが独特ではあるものの、彼女は周囲への気遣いがきっちりできる子です。ただ、あまりにエンジンが強力すぎて多少抑えた程度では道路の方がついてこられない、そういう意味ではアイドルになるまでの彼女は結構苦労があったんだろうなと思います。
–
一方の茜ちゃん。
彼女はアイドルになりたての頃のメモリアルコミュで自分の境遇を「チュートリアルくらい簡単」と表現していたのが個人的に強く印象に残っています。
この台詞について本人はあまり意識していなかったようですが、勉強もスポーツも出来て愛嬌抜群の彼女にとって”ここまでの人生が簡単すぎた”というのは恐らく本当でしょう。
現実だと子供の頃に『神童』なんて言われてた子でも大抵は彼女くらいの歳までにもっとすごい子に出会うなりして、そこから社会との折り合いをつけるようになったりするもんなんですけど、殊彼女に関しては担当という贔屓目を抜きにしてもあのまま割とどこででも通用してしまいそうだなと思えてしまうだけのポテンシャルがあります。
人生がチュートリアルみたい。
そんなちょろい生き方、俺もしてみたいわと思う反面、実際に置かれた立場で考えてみるとそれはそれで結構怖い気もします。チュートリアルだけで終わるゲームなんて、そんなもんわざわざやる意味あるか?って話ですよ。
–
アイドルになる以前は有り余るポテンシャルが逆に自分の立ち位置を窮屈にしていた点で麗花さんと茜ちゃんは似たもの同士です。才能に恵まれたがゆえの一般社会での生きづらさをお互いに理解している者同士だからこその信頼感。そこから生まれる手加減無用の圧倒的なパフォーマンス。これがトリトリの魅力。
彼女たちがようやく見つけたトップアイドルという目標は、実力だけでなく圧倒的な運にも恵まれなければたどり着けない遙か遠い存在です。
それでも目標に向かって全力で走れること、それ自体が今の彼女たちにとっては楽しくてたまらないはず。人類が頭を悩ませる世界中のフシギも2人の前では駆け上がる階段の1ステップに過ぎません。そうやって駆け抜けていく彼女たちの姿を「あいつら本当に楽しそうだなあ」と眺めていられるのがフシギトラベラーなのです。
これだと「あれ?じゃあ俺もあの子達からしたら単なる階段の1ステップってこと?」ってなってしまいそうですが、重要なのは「結局のところ言葉に勝つのは笑顔とピースサイン」という歌詞。
彼女たちの圧倒的なポテンシャルを持ってしても、並べ立てられた難解な科学理論を持ってしても、結局のところ笑顔とピースサインに勝るものは無いんです。この話、最新の宇宙理論を映像化しながら最終的に愛が人類を救ったっていう映画・インターステラーにそっくりですよね。
インターステラーと同じテーマを765プロの個性派アイドル2人がこんなにも明るく楽しそうにとにかく全力で歌う、正に彼女たちの曲。フシギトラベラーは最高のキャラソンです。
日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)