今日は唐突ですが思いつきで書き上げて公開するタイミングが無くそのままになっていた『環のキャラ造形がとても丁寧で好き』っていう話。お誕生日に合わせて少し手直しして公開することにします。
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つい先日のBOTイベントでも少し触れられましたが環は喧嘩や争いごとが苦手です。香川の祖母の家で周囲の大人たちに見守られながら大切に育てられたことが窺えますが、他に同じくらいの歳の子がいなかったこともあり仲間が本気で衝突しているのを見ると驚いて泣き出してしまったりと、自我の形成が少しゆっくりな印象も受けます。
小さい頃は海外在住で、その後両親と離れて香川県の祖母の元で成長し、東京で再び両親と暮らすようになって間もないタイミングでPと出会いアイドルになった。メインコミュ第98話で語られた環の経歴はこんな感じ。
台詞の語尾が「だよ」になるのも環にしては珍しい。不安混じりの会話になって少し口調が変わるのも子供らしい表現で作り込みを感じます。
ミリオンのキャラは普段見えないところまで詳細な設定がなされていて、それがきっちりエピソードに反映されてぽんと出てくることに驚かされると以前から何度も語っていますが、歳の割に幼い印象を受ける環が過去に環境が一変するような出来事を複数回経験していた設定になっているのもこれまた非常に興味深いことです。
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環が両親のことを「お父さん」「お母さん」と呼びつつ祖母のことは「ばあちゃん」と呼ぶのを見たとき、自分は「おっ!」と思いました。彼女に初めて出会ったとき「こんなに活発な子なのに髪型はロングヘアなのか」と少し意外に感じ、それを「恐らく両親は本人に強く求めてはいないもののお淑やかな子になって欲しいと願っていて、この綺麗にお手入れされたロングヘアーはその願いの現れなんだろうな」と結論づけた自分にとって、正にこれこそが求めていた答えだったからです。
東京の環の自宅は都会的で洗練された雰囲気である一方、香川のばあちゃんの家はいかにも田舎らしい日本家屋。メインコミュ第132話を見るとばあちゃんはどうやら環から見て父方の祖母にあたるようなのですが、環の呼びかけ方や家の様子を見るに両親と祖母は暮らしぶりや価値観が結構違っている様子が窺えます。
あのくらいの子って家族をどう呼ぶかは、自分自身ではなく親あるいは呼ばれる本人に決定権がある感じだと思うんですけど、そこから考えると両親は自分たちを「お父さん」「お母さん」と呼ばせながら、祖母が自分のことを「ばあちゃん」と呼ばせていることを許容していると捉えることができます。
お互いの価値観に違いがあっても、それぞれが持っている良いところを尊重し、一つ一つの体験から学ぶことが大事であることを知ってもらいたい。呼び方の不一致ひとつからも環に対するご両親の教育姿勢が透けて見えますし、こんな人たちだからこそ我が子に他者との繋がりを表す”環”という名前を付けたんだろうなってところまで考えが及びます。
とはいえ幼少期から価値観が大きく違う世界を行き来する生活は、本人が経験を総括し調和させるのに年月が掛かる、言い方を変えれば人格形成に時間を要するという一面もあります。ここで両親が焦って変な働きかけをしてしまうとデメリットが目立つようになってしまうんですけど、まあ環の両親はそのへんも良く分かってそうな雰囲気なので特に心配する必要は無いのかなと。
誤解無きように強調させていただきますが、自我の形成は人によって”ゆっくり”なことはあっても、それを”遅い”と表現することには自分は断固反対です。まだ成長しきっていない部分が多く残っている環には、そのぶんこれから何者にもなることができる大きな可能性があります。
そんな子を誠意を持ってより善い方向に導いてあげるのが彼女をご両親からお預かりするプロデューサー・・・いや、あるべき大人の姿でしょう。
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香川のばあちゃんの元から東京の両親の元へ、再び環境が大きく変わって間もないタイミングで環はPと出会い、Pは環の両親に彼女をアイドルにスカウトしたいと説得しにやってきました。
幼い頃から多様な価値観に触れて欲しいという教育方針で娘を育ててきたであろう両親。しかし12歳の娘にこれから更に新しい世界に触れさせることについてはかなり悩んだのではないでしょうか。アイドル業界に対しての懸念というよりは、今後我が子がもっとたくさんの価値観に触れたときそれを総括しきれるのかという懸念。しかし最終的に両親は環の可能性を信じる選択をとりました。
まだまだ幼いところが見える環が、これからどのような大人に育つのか。結果はまだ見えていないものの彼女には未知数のとても大きな可能性があることを多くのPが感じ取っており、両親の判断はきっと正しいものだったと思える結果になるであろうことは暗に示されています。
まだ何者にもなれていない彼女。
しかしだからこそ765プロの擁する50人以上ものアイドルの中で化学反応を起こしたときの爆発力は計り知れないものがあります。大神環という少女の可能性を感じながら、ゆっくりとその成長を見守るのもまたP稼業の醍醐味なのではないでしょうか。
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・・・と綺麗に終わらせても良かったんですけどこの話題になったらやっぱり語っておきたい環が演じた役の話。”Clover’s Cry”の逢路蘭、”I.V.”の織姫、演じた役から深淵を纏うような底知れ無さを醸し出せるのも自我が不確定ながら演技力は既に一級品というアンバランスさから生まれ出るもの。
成長を期待しつつも今の環の活躍をもっともっと見たい気持ちがあるのも事実。まだしばらくの間はそんな今の彼女ならではの姿を見つめ続けられる幸せに浴しましょう。お誕生日おめでとう環、今日からの一年もまた素晴らしいものになりますように。
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