細かすぎて伝わらないミリアニ感想第12話分です。
ぶっちゃけた話、前回までで未来の夢の話、静香の憧れの話、翼の本気の話、主軸の物語はもう全部やりきっちゃってるんですよね。あれだけ尺が足りないと言いながらおおまかな話は第11話まででまとめ上げ、あとはひたすらライブシーンで盛り上げる。「ミリオンライブの魅力を最大まで引き出す」この命題のために考え抜かれた構成。全編クライマックスの最終回が始まります。
冒頭、大盛り上がりの会場やメンバーをよそにプレッシャーに押しつぶされそうになる紬、不安は歌織にも伝播しています。遅れて参加した2人だけライブ慣れしていないのは5thライブ当時のキャスト2人のエピソードを思い出させます。
チョー↑元気Show☆アイドルch@ng!、この曲だけ観客の歓声が入りまくってんですよね。アイドルファンからアイドルになった亜利沙、がっちりとパフォーマンスで観客の心を掴んでます。
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続いてのシーン。原っぱライブ開催に向けた話し合いの時はまだレッスンが足りないと不安でうつむいていた紗代子が、笑顔でメガネを外し未来へと託します。
これはミリシタにおける紗代子のライブ開始台詞。
イントロが流れ始め、円陣を組んで「Team5th、レッツゴー!!」のところで堪えきれなくなっていたのに、曲名がこれ。初見では見た瞬間にボロ泣きしました。
”ショコラブル*イブ”で茜ちゃんと紗代子が一緒のユニットになってただけで大喜びしてた自分、そこに育さんまで加えたユニットがよりによってミリアニで描かれる。願うことすらおこがましいほどの夢が丸々叶ってしまって良いのだろうか。
なんなら今でもいまいち信じてないくらい、そのくらいの衝撃と感動。しかも持ち歌は茜ちゃん曲で1度ならず大恩がある宮崎まゆさんが制作に関わってくれた曲。ほんとに本当に感謝してもしきれねえよ。
育さんとせりちゃん、声めっちゃ合うなあっていう驚き。
人生何でも前のめりな茜ちゃんといつでもマイペースの美也、ジャンプのタイミングが合わない。
会心の美少女紗代子。これは万病に効く。
紗代子ってユニット曲だと毎回見せ場になるパートがあって、こんなに良いとこばっかもらっちゃっていいんだろうかと紗代子Pとして若干心配になることもあったんですけど、最近になってようやく気づきました。紗代子が見せ場になるパートを割り当てられているんじゃなく、紗代子が歌うパートが見せ場になるのだと。
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会場のボルテージに比例して、これまたあまりにも眩しいショットから始まる”Sentimental Venus”。
海美のモーションなんかステージメンバー映ってない控え室のカットのためにこの指の動きわざわざつけたのかよって変なところでめっちゃ感心してました。
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第2話のらたたで誰も何も言えなくなっていたシーンで最初に拍手しだしたのもAS、音響トラブルで一瞬静まりかえったホールで最初に声を上げたのもAS。皆本当にいい先輩になった。
ライブを止めるな。
ここで打ち鳴らされるハンドクラップは第1話ASのライブ開始シーンでアイドルたちのシルエットが1人ずつ映し出される時と同じ節のもの。今日のこけら落とし公演に集まった観衆たちもまた765プロとライブを愛して止まない者たちなのです。
音響が復旧した際のノイズ、ここも音がリアルでこだわってんなあと思ったんですけど、後で「劇場に魂が宿った瞬間の心音」と言われているのを見てそういう意味だったのかと膝を打ちました。アイドルたちが、Pが、観衆が、スタッフが、ライブを続けたいと願いを一つにした瞬間、奇跡が、劇場に魂が宿ったのです。
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再び様子が変わる紬に呼びかける歌織。
紬はそれに応えることなくステージに向かいます。
からの”瑠璃色金魚と花菖蒲”。完璧にして圧倒のパフォーマンス。
あー!そうそう!思い出した!
ミリシタ発表に併せて公開された”瑠璃色金魚と花菖蒲”、確かにそうだった。
またえらいとんでもねえ新人見つけてきたなって、そうだよ!思ったよ!
冒頭あまりの衝撃に歪む視界。
アイドルのステージは山と見てきたはずの小鳥さんですらただ口を開くばかり、よく見ると社長すら言葉を失っています。全てが最高であることの証。
あまりにも圧巻過ぎて紬のパフォーマンス中は話が一切進みませんでした。
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紬の姿に自らも自信を取り戻し、笑みを浮かべてステージに臨む歌織。
凜々しいんすよ、マジで凜々しいんすよ。
ハミングバード、広がる朝日のような歌声をBGMに再びストーリーが進み出す。
一大トラブルから解放され、駆けつけた千早の前で大泣きする杏奈・奈緒・風花。
見守る可奈と莉緒を含めた5人は合宿でレッスンを付けてもらっていた千早の生徒たち。
SVの歌唱メンバーが杏奈・奈緒・風花だったのはミリオン2ndライブであった実際の出来事がベースのメタ事情なんですけど、感情のコントロールがキャラの軸になっている杏奈、1期生のムードメーカーだった奈緒、元看護師で年齢的にも性格的にもお姉さん役が多い風花と、普段ならいずれも感情を爆発させることが珍しい立場の子ばかり。そんな彼女たちが人目も憚らず号泣しているシーンに繋がっていくのがまたね、ドラマなんですよねえ。
ミリアニのライブシーンはミリシタと比べて描画フレームが少ないぶん、見得を切るシーンでは動きがバシッと止まって見えると以前書いたら、その後のインタビュー記事でむしろそのためにフレーム補間を使わず止め絵を増やしているシーンまであるとスタッフの方が述べられていて「はえー・・・」ってなったんですけど、ハミングバードのライブシーンは見得を切るような大きな振り付けがないぶん全編フルフレームで歌織が躍動します。指だけ見ててもめちゃくちゃ綺麗なんですよね。
もう一つ見た瞬間に心の中で悲鳴を上げたのがスポットライトを浴びた歌織から伸びる影の表現。
これ、わかります? 右手の肘から先は光源に対して垂直になっているぶん光を遮る長さが長くなって影が濃く、肘から肩までは腕の太さぶんしか光が遮られないため回り込みが多くなって影が薄い。もっと細かく言うと衣装が膨らんでいる肩の部分から下に伸びる影とその先の濃さもわずかに違う、そこまで表現されてるんです。
これが演者とカメラの動きに合わせてリアルタイムに変化していく様が描かれる。もう3D表現の到達点と言いたいくらいの美しさで、元々新型3DグラフィックカードのデモPVが大好きで、その延長からXbox360版アイドルマスターのMVに触れた自分にとっては、こんなところでまで俺の魂を揺さぶってくるのかよという感動の嵐。
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最終ブロック、こちらも画面には初登場となるオレンジノキオク。
舞台裏で駆け寄って抱き合ったところで、やっと笑顔になる2人。
この歌詞を聴いてはっと我に返る視聴者。ああ・・・ああ、ミリアニが、我々が待ちに待ちわびたミリアニが、もうすぐ終わる・・・。
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こけら落とし公演最後の1曲、未来の挨拶が終わりTeam8thのパフォーマンスが始まります。
曲名は”REFRAIN REL@TION”、おお・・・遂に、遂に、遂に切ったか、@付き代表曲のカード!
”ありがとう、私たちの初めてを見に来てくれて、
手拍子で待っててくれて、一緒にバトンを繋いでくれて
これからずっと、ずっと先の未来まで、このシアターを繋いでいきます。
だから、私たち39人からの、この歌を声を、届けさせてください!”
未来ちゃん、もしかしたらここでの挨拶は事前に考えたものがあったのかもしれませんけど、「手拍子で待っててくれて」というフレーズはアドリブで、以降の台詞は自ら心を語っていることが示唆されます。
紡がれるのは決意と感謝。
語りかける相手はミリオンライブ開始以来彼女たちを見守り励まし、ずっとアニメ化を待ち続けた画面の前のプロデューサーたち。
Team8thのユニット曲でありながら、全体曲でもある”REFRAIN REL@TION”。
こういう特別な扱いが許されるのも765プロ全体を担当しているという意識が強いミリオンライブだからこそ、目の前に広がるこの光景全てが765プロのPであることの喜び。
アイドル全員からの”ありがとうございました!”で締めくくられるライブ。
そりゃね!ミリオンライブはね!”ありがとうございました!”が最後に来るんすよ!
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最終回のエンディング曲は絶対”Brand New Theater!”になる。
これは第1幕視聴感想の時点で自分が予言したこと。「”Rat A Tat!!!”と”セブンカウント”には扉を叩くだけで開くシーンがない」という話題を見た時点でこうなるであろうことは間違いないと思っていました。
ミリアニ開始直前に行われた10thライブ名古屋公演、ミリシタがテーマのこのライブ冒頭で「とびらあけて、さあ行こうよ 私たちのBrand New Theater Live!」に続いてあがった会場のPたちの、絶叫とも言える歓声。あまりの大音響に震え上がりつつ「ここからミリシタが始まったんだ」と感動を噛みしめた筆者のアイドルマスターライブ現地初参加の思い出。そりゃピンと来ないはずがない。
そして”絶対”とまで言い切ったのはミリアニのオープニングアクトが”TOP!!!!!!!!!!!!!”だった瞬間、「このスタッフが作品に賭ける愛は本物だ」と確信したからでもあります。
果たしてその読みは正しかった。
それにしても、それにしてもだ。10年前に劇場版アイドルマスターで13人のアイドルたちが夕日の向こうに思いを馳せた輝きの向こう側の世界、その光景を現実のものとして目にする日が来ることになろうとは、その光景がここまで美しく眩しいものだったとは。
この目で見るまで信じられなかった。
アイドルマスターが好きで良かった。今はその思いでいっぱいです。本当に、本当にありがとう。
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春香たちのライブを目の当たりにして夢を見つけた観客席の少女は
遂に憧れた先輩たちと同じ舞台に立った。
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”ショー”が使われる慣用表現として有名なのは”The Show Must Go On”、「幕が上がったら、最後まで続けなくてはならない」。これがショービジネスの鉄則。
しかしミリオンライブ劇場においてこの言葉を唱え続ける必要は無いでしょう。
”The stars are shining.
The show goes on”
(スターたちは輝き続け、ショーは続く)
ここはPとアイドルとファンたちの夢の集まる場所、歌声は自ずから生まれ響き、今日も皆の願いによってステージの幕は上がるのです。
ミリアニ全話感想お疲れ様でした
自分では気づかなかった部分などもあり楽しく読ませていただきました。アニメ本編が良かったのはもちろん全話感想のおかげで2倍楽しめた気がします
2倍?そんなに!?
ありがとうございます。反響をいただけるのが何よりもうれしいです。
正直ここまで入れ込んで記事を書くことになろうとは、自分でも全く予想してませんでしたね・・・。