おっ!久しぶり!
というわけで、まだ墓に入っていなかったPから、如月千早武道館単独公演と聞いて○年振りに墓から顔を出した同僚諸兄への、基礎から分かる(はずの)MRライブ紹介記事です。

MRライブとは?
MR(複合現実)技術を用いたアイドルによるライブステージ・・・とのこと。765プロのPなら2018年からDMM VR THEATERで行われていた公演を覚えている方もいるかもしれません。
仕組みから説明してしまうとステージ上に投影されたホログラフィックのアイドルのパフォーマンスと通常のライブ同様のライトやレーザー機器による演出を組み合わせたライブです。
上述のライブシリーズは機材が揃った専用会場での開催となっていましたが、2024年3月から始まったシリーズは会場の制限が無くなり日本各地のホールなどでライブ出来るようになりました。

筆者はこのうち『Re:FLAME』京都公演に現地参加し、あの熱気が忘れられず今回の武道館公演にも応募、併せてこのような紹介記事を書くに至りました。個人的にはね、一度墓に入った同僚にこそ見て欲しいのよ!あの迫力と!そして今の千早の姿を!
実際どう見えるもんなの?
自分はDMM時代のライブ現地には行ったこと無いんで比べられないんですけど、当時を知っているPに聞くと結構違うらしいです。
MRライブステージは公式からスクショ&SNSアップロードOKと言われてますんで遠慮無く使わせてもらうと

客席からみたイメージはこんな感じです。
動画だとこんな感じ。
とはいえ自分も実際に現地へ行くまで「MV見ながらみんなでコールする感じなのかな」くらいに考えてました。
そしたらまずステージライトが落ちた暗闇をバミリ位置まで移動するアイドルの動きまで作られていて、シルエットで分かるメンバーと立ち位置から次の曲を察した客席が沸くっていう一連の流れまで現実どおりというリアルさに驚き、続いて始まるライブの光景がもう、ね!!

ステージ上のライトは現実に存在しているものと映像で描かれているものが入り乱れています。これがぐわんぐわん動いてアイドルの方へ動くとアイドルはちゃんとその色に照らし出されます。「はー、よく出来てんねえ」と感心して見ているうちに曲がサビに入り、サーチライトや前席のPのペンライトの光越しにアイドルが見えた瞬間の迫力!ですよ。
技術の進歩だとか仕組みなんてものは語るだけ野暮。
そこに「いる」アイドルに向かって上がる歓声と興奮は間違いなく本物。後述するライブ以外の演出も相まって、没入感で言えば普段のライブを超えた、クラクラと酔うほどの強烈な体験が味わえます。
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ライブストリーミング配信はそもそも会場とは流れている映像が違います。
配信版はM@STER EXPOのときの冒頭無料配信がYouTubeにアップされていますから、百聞は一見にしかず、公式の動画見てください。
【HARUKA AMAMI SOLO LIVE “START”】
【RITSUKO AKIZUKI SOLO LIVE “Let me hear”】
現地の光景はステージ上で歌い踊るアイドルを客席から見る普段同様のライブになりますから、当然カメラアングルは変わりませんし視点がアップになったりもしません。一方配信版は色々なカメラアングルがあり、簡単に言うとこのライブのために作られたゲームMVのような映像のうち客席が映り込むカットと音響が現地会場のものに差し替えられてる感じになります。
文字で書くとこれだけなんですけど、なかなかとんでもないことしてますよね。
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個人的なお勧めはどちらかというと・・・断然現地です。
MRステージシリーズ独特の世界観演出
ほかに技術的な部分以外での特徴として、2024年からのMRステージシリーズは登場するアイドルが実在するものとしてステージパフォーマンスを行う演出が貫かれています。
どういうことかというと、まずアイドルたちから客席への呼びかけは”プロデューサー”ではなく”ファン”になり、ファンが知り得ないであろう事情は口にしません。いつも見ている事務所や舞台袖からの顔ではなくアイドルとしてファンの前に立つ顔という、今まで知っているようで実はあまり知らなかった彼女たちの姿を楽しめるライブになっています。
併せて”THE IDOLM@STER”のタイトルやロゴも基本的に使われません。このへんもメタな情報ですからね。
今回の武道館公演発表が実在するメディアを招いての記者会見だったのもその流れの一つと言えます。
こういう演出を面白いなと思える方ならかなりハマれると思います。
どんな曲が来そう?
既に墓穴から半分身を乗り出しながら「でも俺、最近の曲とか全然知らないしな・・・」とまだ迷ってる貴方、ではここで2024年末に行われた春香と律子のライブセトリを見てみましょう。

「令和にやるライブのセトリじゃねえ!」と配信組からツッコミが入りまくるのももはや恒例。
毎回こんな感じといいつつ、美希カバーの『目が逢う瞬間』が新録で来たりとやりたい放題のステージも魅力になっています。
しかし初めて聴いた曲に心奪われたPがショップやサブスクを探し回るもそもそも音源が無く、中古ショップでようやくCD見つけた!と呟いているのを未だに見かける訳の分からない状況、ええんか、これで・・・。
まあまだ時間はたっぷりありますし、サブスクでもかなりの曲を網羅できますから今から聴き込んでおけば問題ないでしょう。→YouTubeミュージックで”如月千早”を検索
あと今までの流れからすると間違いなく新曲が来ます。
チケットは現在抽選受付中です
そんな感じの如月千早武道館単独公演”OathOne”は現在アソビストアプレミアム会員先行チケット抽選が5月25日まで受付中。この後アソビストア一般会員先行が7月頃、一般販売が11月頃に行われることが発表されています。
過去一番の大きさの会場かつ初めての単独公演、あまりの規模感に心配する声も上がっていたものの蓋を開けてみればチケット争いは激戦になり追加公演が沸いて出るほどになりました。今からこの公演のためにプレミアム会員になるのはちょっと・・・という人もアソビストアに登録して一般会員先行に申し込むことをお勧めします。→チケット申込ページはこちら

今回この記事を書いたのは何よりも多くの同僚たちに「今の千早を見て欲しい」というのが一番の動機。
一緒に盛り上がってくれる同僚Pが一人でも増えてくれれば幸いです。
大神環の緻密に描かれた不確定性について
今日は唐突ですが思いつきで書き上げて公開するタイミングが無くそのままになっていた『環のキャラ造形がとても丁寧で好き』っていう話。お誕生日に合わせて少し手直しして公開することにします。
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つい先日のBOTイベントでも少し触れられましたが環は喧嘩や争いごとが苦手です。香川の祖母の家で周囲の大人たちに見守られながら大切に育てられたことが窺える特徴である一方、他に同じくらいの歳の子がいなかったこともあり仲間が本気で衝突しているのを見ると驚いて泣き出してしまったりと、自我の形成が少しゆっくりな印象を受ける面でもあります。

小さい頃は海外在住で、その後両親と離れて香川県の祖母の元で成長し、東京で再び両親と暮らすようになって間もないタイミングでPと出会いアイドルになった。メインコミュ第98話で語られた環の経歴はこんな感じ。

言動に不安が混じると台詞の語尾が「だよ」になるっていう口調のブレ。このあたりも作り込まれているところで、環の子供らしい部分がさりげなく表現されてますよね。
ミリオンのキャラは普段見えないところまで詳細な設定がなされていて、それがきっちりエピソードに反映されてぽんと出てくることに驚かされると以前から何度も語っていますが、歳の割に幼い印象を受ける環が過去に環境が一変するような出来事を複数回経験していた設定になっているのもこれまた非常に興味深いことです。
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環が両親のことを「お父さん」「お母さん」と呼びつつ祖母のことは「ばあちゃん」と呼ぶのを見たとき、自分は「おっ!」と思いました。彼女に初めて出会ったとき「こんなに活発な子なのに髪型はロングヘアなのか」と少し意外に感じ、それを「恐らく両親は本人に強く求めてはいないもののお淑やかな子になって欲しいと願っていて、この綺麗にお手入れされたロングヘアーはその願いの現れなんだろうな」と結論づけた自分にとって、正にこれこそが求めていた答えだったからです。
東京の環の自宅は都会的で洗練された雰囲気である一方、香川のばあちゃんの家はいかにも田舎らしい日本家屋。メインコミュ第132話を見るとばあちゃんはどうやら環から見て父方の祖母にあたるようなのですが、環の呼びかけ方や家の様子を見るに両親と祖母は暮らしぶりや価値観が結構違っている様子が窺えます。

あのくらいの子って家族をどう呼ぶかは、自分自身ではなく親あるいは呼ばれる本人に決定権がある感じだと思うんですけど、そこから考えると両親は自分たちを「お父さん」「お母さん」と呼ばせながら、祖母が自分のことを「ばあちゃん」と呼ばせていることを許容していると捉えることができます。
お互いの価値観に違いがあっても、それぞれが持っている良いところを尊重し、一つ一つの体験から学ぶことが大事であることを知ってもらいたい。呼び方の不一致ひとつからも環に対するご両親の教育姿勢が透けて見えますし、こんな人たちだからこそ我が子に他者との繋がりを表す”環”という名前を付けたんだろうなってところまで考えが及びます。
とはいえ幼少期から価値観が大きく違う世界を行き来する生活は、本人が経験を総括し調和させるのに年月が掛かる、言い方を変えれば人格形成に時間を要するという一面もあります。ここで両親が焦って変な働きかけをしてしまうとデメリットが目立つようになってしまうんですけど、まあ環の両親はそのへんも良く分かってそうな雰囲気なので特に心配する必要は無いのかなと。
誤解無きように強調させていただきますが、自我の形成は人によって”ゆっくり”なことはあっても、それを”遅い”と表現することには自分は断固反対です。まだ成長しきっていない部分が多く残っている環には、そのぶんこれから何者にもなることができる大きな可能性があります。
そんな子を誠意を持ってより善い方向に導いてあげるのが彼女をご両親からお預かりするプロデューサー・・・いや、あるべき大人の姿でしょう。
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香川のばあちゃんの元から東京の両親の元へ、再び環境が大きく変わって間もないタイミングで環はPと出会い、Pは環の両親に彼女をアイドルにスカウトしたいと説得しにやってきました。
幼い頃から多様な価値観に触れて欲しいという教育方針で娘を育ててきたであろう両親。しかし12歳の娘にこれから更に新しい世界に触れさせることについてはかなり悩んだのではないでしょうか。アイドル業界に対しての懸念というよりは、今後我が子がもっとたくさんの価値観に触れたときそれを総括しきれるのかという懸念。しかし最終的に両親は環の可能性を信じる選択をとりました。
まだまだ幼いところが見える環が、これからどのような大人に育つのか。結果はまだ見えていないものの彼女には未知数のとても大きな可能性があることを多くのPが感じ取っており、両親の判断はきっと正しいものだったと思える結果になるであろうことは暗に示されています。
まだ何者にもなれていない彼女。
しかしだからこそ765プロの擁する50人以上ものアイドルの中で化学反応を起こしたときの爆発力は計り知れないものがあります。大神環という少女の可能性を感じながら、ゆっくりとその成長を見守るのもまたP稼業の醍醐味なのではないでしょうか。
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・・・と綺麗に終わらせても良かったんですけど、この話題になったらやっぱり語っておきたい環が演じた役の話。”Clover’s Cry”の逢路蘭、”I.V.”の織姫、佇まいから深淵を纏うような底知れなさを醸し出せるのも自我が不確定ながら演技力は既に一級品というアンバランスさから生まれ出るもの。

成長を期待しつつも今の環の活躍をもっともっと見たい気持ちがあるのも事実。まだしばらくの間はそんな今の彼女ならではの姿を見つめ続けられる幸せに浴しましょう。
お誕生日おめでとう環、今日からの一年もまた素晴らしいものになりますように。