先日のエントリーが思いのほか大反響なようで。
”考察”なんて題を付けるのはどうも身に相応しくないというか、全然違ってたとき恥ずかしいので滅多に使わないようにしてるんですけど、今回はたとえ間違っていたとしても我ながら「この解釈なら話として面白いんじゃね?」って結論を導けたためちょっとSEOウケも意識して”考察”とさせていただきました。
あれでも一応簡潔にまとめるつもりで、カットしても通じそうなところはカットしています。ただやっぱりカットした部分の「あれが分からん」という人を見ちゃうと自分なりの答えをしゃべりたくなる・・・ってなわけで、今回は何点か補足のお話をば。
本編中1回目の神下ろし候補を指名するシーンの後に入ったキャプション。
この字幕での”村長”はヨハンナのことです。どうも紛らわしくて何でここだけ”村長”って単語使った?ってのも疑問なんですけど、改行の都合で短い単語を選んだんでしょうか。この時点で先代の村長は既に死亡しており、リンネアの身代わりにエマが神下ろし候補を名乗り出てヨハンナがそれを承認した・・・というのははっきり描かれているので、この判断を下した”村長”とはヨハンナを指すはず。
引っかかるのは、この文章を読むと「初めにリンネアに神下ろしをして、続いてエマに神下ろしする」というプランが候補指名の集まりの前からヨハンナの頭にあったことになってるんですよね。
初めにリンネアに神下ろしをして続いてエマに神下ろしするつもりだったけど、リンネア指名したら代わりにエマが名乗り出た。ヘルミ先生は「身代わりもあり」って言ってたし、どのみち最終的にエマに神下ろしする予定だったんだからリンネアのとこは省略してもいっか。
・・・ってことですよねこれ。
メインルートまでしか公開されていない段階でこれの意味が分からず、だいぶ悩みました。
で、個人的な結論。
先代村長の秘策だった『神』との契約解除、その手順こそが「初めにリンネアに神下ろしをして、続いてエマに神下ろしする」ものだったのではないでしょうか。原理?それは知らない。
ヨハンナは先代村長から契約解除に至る手順をあらかじめ聞かされていました。ただ理屈までは聞かされていなかったのか、聞く前に先代が謀殺されてしまったのか、いずれにせよ「初めにリンネアに神下ろし」することがステップに含まれていることを知りませんでした。
一方ヘルミはアウロラと接触した際に「私は(先代)村長のように、君たちの神を裏切ったりしない」と発言しているため、村長が契約解除=『神』を裏切る計画を持っていることは知っています。
「契約解除しちゃうのかー、なんかつまんねーなー」と思っていたところにアウロラから計画の妨害を持ちかけられたため、「よし、じゃあいっちょ殺ってみっか!」と閃いちゃったんでしょうか?だとしたらほんとなんなのこの人。
(ヘルミは儀式とは無関係の人間だと思っていた)エマに神下ろしするという突拍子もないアイデアも、大元は先代村長の計画が発想のベースになっていたのかもしれません。
ヘルミはクローバー型の痣を見て初めてエマが『神』であることに気づいているため、先代村長はエマが『神』であることは明かさなかったようです。あるいは先代も古文書か何かで解除手順に関する情報は得ていたもののエマの正体までは知らなかった可能性もあります。アウロラは村長の計画を「”少し”都合が悪い」としか評していないので、先代も核心中の核心は知らなかった線が有力ですかね。
結局ヨハンナには計画の全貌が伝わっていなかったこと、ヘルミの攪乱工作があったこと、何よりヨハンナ自身が強いストレスで判断力を著しく欠いていたことなどが合わさって「ならば最初からエマでも問題はない」と結論してしまったのが上述のキャプションに繋がったと考えています。
この仮説で一つ救いなのは、ヨハンナがリンネアを指名したのは自らの命惜しさではなく、先代の残した計画に従った結果になるところです。実際エマが身代わりを名乗り出るとすぐにその案にすがっており、極限状態にありながらもどうにかしてリンネアの身を救おうと苦悩していた様子が窺えます。
数行にまとめようとしたら無理だったんでカットしたんですけど、やっぱすげえ長い話になったわこれ。
これは割と簡単に説明が付きます。
次の神下ろしの候補はヨハンナかリンネア。彼女たちはずっとその恐怖に抑圧されて育ってきました。
村長の娘として育ったヨハンナはともかく、リンネアが自分の運命を知っていたのかについては
気づいてたみたいですね。
村長の子供は代々双子。小さな村に同じ年頃の孤児・・・となれば感づいていてもおかしくありません。
エマへの神下ろしが行われ、それが成功に終わったと思われていたわずかな間、彼女たちの様子は大きく変化していました。ヨハンナは明るく気立てのいい性格に、リンネアは病弱だったのが一転して活動的に。
ヨハンナ本来の性格は先代の遺書にあったとおりでした。他方リンネアは・・・元々病弱では無かったのでしょう。
神下ろしに失敗した者は命を落とします。逆を言えば神下ろし中に死んでしまったらその時点で失敗判定です。
自らの運命を察しているリンネアは恐らく自分でも意識することなく嘘をついていた。周囲が彼女のことを神下ろしに耐えられない病弱な娘と思ってくれれば儀式の対象からは外れることができる。
ヨハンナに神下ろしを指名されたときリンネアは突然咳き込みました。すぐにエマが庇いましたが自分は正直「なんか嘘くさいな」と思ってしまいました。後にも先にも咳をしていたのこのタイミングだけだったので。
最終的に彼女は自分が犠牲になることについて周囲に呪いの言葉を吐きかけ、村人を皆殺しにする形で己のエゴを爆発させます。その前段階として普段おとなしく振る舞っていても決してエゴとは無縁の性格ではないことを、神下ろしという恐怖から解放された途端に元気になってしまう姿で表現していたわけです。
まあでもリンネアを卑怯と責めるのは酷でしょう。家の生まれだけを理由に得体の知れない神様の犠牲になれとか言われても嫌ですよそりゃ。
最後に今回ひたすら「ヘルミ先生が悪いヘルミ先生が悪い」と書いてきてしまったので律子(と中の人である若林の方の『神』)に対するフォローを。いや、ヘルミ先生は悪いんですけどね。
今回のループにおいてほとんど全ての元凶となっていた黒幕・ヘルミ。ただコミュだけ見ているとどうも小物感が拭えません。演出と演技によってうまく矮小化されています。
あまり策謀を巡らせているところを見せてしまうと、得体の知れないものに振り回される少女達のおどろおどろしい物語という表向きの表現がうまく機能しなくなるため、敢えてややしょぼめな悪役像に押さえられているのでしょう。これが読者を煙に巻くミスリードとしても機能しています。
実際にやっていることを振り返ってみると、動機は己の好奇心のみ、ヨハンナとリンネアは最後まで彼女の本性に気づくことなく意のままに操られていました。サイコパスの典型みたいなお方です。これをわりとあっさりした感じに見せてしまうところが脚本と演出と演者の腕って事ですね。
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さて、言いたいことは大方語り尽くしたのでClover’s Cryに関するお話はひとまずこれで終わりです。今回も長文最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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