以前茜ちゃんの魅力を語り合う流れになっていたとき「茜ちゃん特有の言い回しが好き」と言っている人がいて
と思った話。
どこから目線なんだお前は。
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茜ちゃんは会話中に独特で印象的な言い回しをすることがあります。
以前も触れたことがあるSSRカードのこの台詞もその一つ。
「ずーっと、茜ちゃんのこと、好きでいてね☆」は茜ちゃんならではといっていい台詞であり、何故こういう言い方になったのかの背景を考えていってみると彼女の思考も見えてきます。
この場面の前提として「お疲れさま~」という台詞と本人は汗まみれなところから、カード覚醒前と後は時系列が逆になっている(覚醒後イラストの写真を撮った後、着替える間もなく共演した子たちにサイン入り茜ちゃん人形をプレゼントしているのが覚醒前イラスト)ことが分かります。
「お疲れさま~」と共演した子どもたちに声を掛ける茜ちゃん。キッズ相手でも同じ高さの目線から接するのは、サインの時にわざわざしゃがみ込んで応対する精神と通じるもので、子供相手にもサービスに余念が無いのはこれ以外のコミュでも語られています。
そこで彼女はまだ幼いファンたちに向かって「ずーっと、茜ちゃんのこと、好きでいてね☆」と言います。普通だったら「いつもありがとう」的なことを言いそうなもんですけど、ちょっと独特のワードチョイスですよね。
ここで筆者が以前聞いたとある芸人さんの話をします。
その方は自らのお弟子さんに「仕事場では公演主に”ありがとうございました”と言うな」と教えられていたそうで、なんでかというと「ありがとうございました」は今この瞬間までに対する感謝の言葉。捉え方によっては「これで手打ち」の印象を与えてしまうため、お礼を言うときは「これからもよろしくお願いします」という気持ちを込めて「ありがとうございます」と言いなさい・・・とおっしゃっていたそうです。なるほどなーと思った話。
この話を踏まえてもう一度上記カードの台詞を見てみますと、茜ちゃんはもはや「ありがとうございます」すら言っていません。彼女からのありがとうは即席のサイン会が始まった時点で言葉から行為に変わって相手に伝えているため、もう口にしなくてもよくなってしまっているからです。
とはいえ喜びと感謝の気持ち自体は別の言葉で述べており、「将来有望だよ!」は茜ちゃんがこれからもアイドルを続けていく前提で彼らの期待に応え続ける決意の表れを端的に言い表しています。さらにここに「ずーっと、茜ちゃんのこと、好きでいてね☆」と言葉を添えることで、今日の思い出は「ありがとうございました」ではなく「ありがとうございます」の意味であることを強調しているわけですね。
先の先まで考えて行動している・・・かどうかは定かではないものの、将来について彼女なりに明確なビジョンがあること、状況に応じて反射的に言動を変化させられる頭の回転の速さ、教科書レベルのネタや約半世紀前の映画から最近のサブカルネタまで口走る博覧強記さといった、強烈無比な個性ひとつひとつが彼女の台詞回しの源泉になっています。
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これも味のある言い回しです。
「最高のステージを見せてあげる」とか「Pちゃん喜ぶ顔が見える」なんてレベルを飛び越えて「よこせー!」です。
これからステージで最高のパフォーマンスを披露するのは当然、Pちゃんが笑顔になるのも当然、前提を2段飛ばしにして、なおかつ茜ちゃん自身Pちゃんの喜ぶ笑顔をみたくて堪らないという気持ちが爆発寸前。だから「よこせー!」になる。抜群のワードセンスです。
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元々の素養に加えて、生来の明るさと押しの強さ故、話したい言葉が次々に頭に浮かんできてしまって口が回りきらない、その解決策として身についたのがあの話術なのでしょう。
それでも伝えきれない部分は大ぶりのリアクションやボディーランゲージで補う。そんな姿は他の同僚たちからも好意的に受け止められています。
あらゆる手を尽くして全力で話しかけてくるのが茜ちゃんのコミュニケーション。そりゃ話しかけられた方も嬉しくなっちゃうよな!
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他方「じゃあ省略された部分ではなんて言いたかったのか」も、上述のとおり状況と文脈を追えばちゃんと見当つくのが輪を掛けてすごいところで、思いついてから発言するまでの間に単語が大幅に削られてしまっても本来言おうとしていたであろう発言それぞれの意図が損われていません。だからこそ実際には2段3段飛ばしくらいで言葉が返ってきていても相手は「ちょっと独特」くらいにしか感じないわけです。
この会話のインプット-アウトプット間の距離がもっと遙かに長いのが麗花さんなんですけど、彼女の域まで行ってしまうとさすがに会話前後の繋がりを察しきれる受け手がかなり限られるようになってしまい、とっさの発言の意図が相手に伝わらずコミュニケーションに苦慮する場面が散見されます。
茜ちゃんと麗花さんの相性が良いのは省略を多用する話者同士であり、麗花さんの超剛速球トークでも茜ちゃんなら見切って打ち返せるっていう部分も大きいんでしょう。
少しうがった見方をしてみると麗花さんが歩のことだけ”あゆあゆ”とあだ名で呼ぶのも、英語が全く話せないにも関わらず外国人に話しかけられて意思疎通が成立しないことが実はほとんどないカンの良さと面倒見の良さを併せ持つ歩が麗花さんにとって特別重要だからなのかもしれません。
最後に話が逸れてしまいましたが、まとめとしてミリオンライブのアイドルはこういう言葉遣い一つまで細かいキャラ造形が反映されていてびっくりするよねという点について共感していただければ幸いです。
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